感想「食人族」
食人族シリーズの元祖! くたばれモンド映画!
【あらすじ】
アマゾン奥地へ向かったドキュメンタリー撮影班が帰って来ない。現地の人に尋ね捜索をすると、見つかったのは彼らの無惨な遺体とビデオカメラのみ。ビデオカメラを回収すると、食人の風習がある部族と邂逅した彼らの悲劇が収められていた。
【感想】
この食人族シリーズもやっと元祖までたどり着きました。そしてこの『食人族』シリーズが何をやりたかったのをきちんと知ることが出来ました。やっぱり元祖を見ないとメッセージは伝わらない。
最初は「よくある猟奇もの」くらいのイメージだったのですが、シリーズを重ねて見ていくほど「未開の土地に住んでいる人よりいろいろ奪う白人が悪い」というモチーフが重ねられていき、そしてその頂点はこの『食人族』なわけです。
ではなんでこんな遠まわしで猟奇的な映像をわざわざ撮っているのだろうということなのですが、大まかなストーリーと音楽を聴いた瞬間にピンと来ました。明らかに『世界残酷物語』をパロっている。
わざわざ出かけて行った先で「多少ショッキングなほうが喜ばれるんだよ」とヤラセ映像を撮りまくり、しかも音楽が「モア」を作曲したリズ・オルトラーニであるとならばもう『世界残酷物語』をあてこすっているとしか思えません。
本作では猟奇性ばかり注目されてしまうのは致し方ないことなのですが、主題は「モキュメントのモキュメント」であります。モキュメント映画を撮っているという体のモキュメントなのです。それに気が付いてからはもう「わーいグロだー」というテンションではなく「これはモキュメント批判なのではないか」という真面目回路が発動し、あまり変なノリで観れなかったのです。
宣伝では「逆上した食人族が」とナレーションがついているけれど、これ完全に正当防衛のうちに入るんじゃねっていうレベルで消えたモキュメント撮影班が鬼畜すぎる。もしかしたらシリーズ史上最悪の悪い奴らかもしれない。同情のひとかけらもない。「現地の方々、やっておしまい!」っていうラストは割と爽快なのかもしれない。
でもガイドの人がブラブラさせることで部族を安心させたり、捜索にむかった博士に村の女が一斉に群がったり、無駄なセックスシーンと大事なところチョッキンに恒例の「実際に生き物を殺しまショー」などエゲツネエなというシーンはたくさんあって「これも同じレベルのアレじゃん」という感じはして、結構好きです。何より、以降のシリーズに比べて展開に無駄がない。普通にお話として成り立っていると言うか、そこが好印象。映像はキワモノだけど、結構考えて作ってる感じしますよ、コレ。
以下シリーズの感想です。そういう描写が苦手な人は絶対見ちゃいけないよ。