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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「人喰族」

洋画 B級 ホラー

 〇〇〇はねえ、とれたてが一番うまいんだ(漁師のおっちゃん風に)

 

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【あらすじ】

 アマゾンのジャングルにやってきたアメリカ人3人組。人類学の研究として「食人風習のある民族など白人至上主義の生み出した幻想」という学説を裏付けたいグロリアと彼女の研究を手伝う弟ルディと何となくついてきたパッド。ジャングルで迷っていた時に遭遇したマイクとジョーから話を聞くと、2人は人喰い族の村から逃げてきたと言う……。

 

 【感想】

 B級ど真ん中のいわゆる「残酷文化系」です。こういう作品は大体襲われる主人公サイドがクズと相場が決まっています。さて、この映画はどうなんでしょう。

 

 冒頭は「人喰い人種などない」と言い切る真面目ねーちゃんグロリア、姉ちゃん大好きな弟ルディ、そして何でお前ついてきたんだ的なパイオツ要員パッドがジャングルで右往左往する場面がただただ続いて割りと退屈です。ここはショッキングな映像まで我慢するところです。

 

 そんで動物が蛇に食べられたりうねうね系の虫が人に食べられたりと地味に嫌な映像が続いて、本作の元凶マイクとジョーが登場します。実はこのマイク、ヤクの売人で高飛びしてエメラルドを見つけて大儲けしようとしていたけれど、本人が言うには「この辺に食人族がいてその集落から逃げてきた」と言い張る。ジョーがひどい怪我をしているので休めるところを探すと、マイクの言う原住民の集落が。その集落の真ん中には男性の大事な部分を切り取られてドイヒーなことになっているご遺体が。この方がマイクのお仲間だったらしい。「人喰い民族は存在した!」という事実に言葉を失うグロリア。

 

 ところが、その村には老人や女性がいるのにじーっと一行を見つめているだけで何もしてこない。その様子を怪しんでいると、感染症を発症して息も絶え絶えなジョーが真実を告げる。

 

「人喰い民族なんていないんだ! あのひどい遺体はエメラルドの在り処を知りたいマイクがコカインガンギめ状態で原住民に乱暴した結果だ! 原住民はマイクを恐れているんだ!」

 

 な、なんだってー!! な展開の間にマイクとねんごろになったパッドは二人で調子に乗って原住民の女の子に乱暴。勢い余って原住民を射殺。「おれ知ーらね!」なマイク。いよいよ村人のヘイトは最高潮。「実はマイクがヤバイ奴」に気が付いたグロリアとルディは村を脱出することに。ところがそのタイミングで狩りに出かけていた村の男たちが帰ってきた! あっけなく捕まる一行。ここから始まる村人たちの復讐劇! 頑張れ村人、負けるな村人!

 

 そこでわかった驚愕の事実。ジョーは「人喰い民族なんていない」と言っていたけれど、息絶えたジョーの遺体を見つけた村人は早速解体してまるで海の上で魚を捌く漁師のようにパクリパクリと……。

 

 なんと、人喰い民族は実在した!!!

 

 捕まったマイクは民衆の真ん中に引きずり出され、ナイフで大事な部分をジョキンとされて、生きのいいソレをもぐもぐされてしまいます。自業自得ですね。その他の人たちも捕まったまま。翌日拘束場所を移される一行でしたが、ルディが「俺が何とか逃げる!」と頑張って逃げたのはいいけれど負傷したまま川に入っていたせいで血の匂いに連れられてやってきたピラニアにやられてしまいます。あっけなく見つかったルディは原住民の慈悲により、吹き矢で昇天します。

 

 それから変な縦穴に拘束される女性ふたりと別穴にマイク。マイクは逃亡を図りますがもちろん成功するはずもなく、キツイお仕置きをされます。「もうダメだ」と女性二人は穴の中で何故かフォスターを熱唱。原住民はしみじみと聞き入ります。

 

 最終的にマイクは頭がぴったりはまる板に拘束され、横からナタでココナツみたいにずぱーんと頭部をかち割られ、中身をこれまたもぐもぐされます。この辺の原住民の動きは、釣り上げたばかりの魚を「うめうめ」とそのまま食べる漁師にしか見えないです。「ザ・俺たちの日常」感がなんとも言えません。マイクとコカインをキめていた悪い子パッドはでっかい鉤針みたいなのででっかいおっぱいにぐさーっとされて、そのまま死ぬまで吊り下げられてしまいます。いわゆる「乳吊り」です。パッケージの奴ですね。この行為が一体何なのかさっぱりわかんない。それを拘束しているグロリアにずっと見せつけているのも意味が分からない。意味が分かったらこの手の映画はおしまいか。

 

 個人的に感心したのが、グロリアたちを探しに来た捜索隊に原住民の工作員がマイクの時計などを見せて「外国人の乗ったカヌーが転覆した」という事故をでっち上げていたこと。つまり助けは来ない。この捜索隊のストーリーも映画では同時に展開されているのだけれど、つまんないので全部カット。

 

 最終的に原住民の少年に助けられたグロリアだけど、少年は罠にかかってあっけなく戦線離脱。そのまま通りがかりの人に助けられるまでグロリアはジャングルを彷徨います。そして国に帰って彼女が書いた論文は……「人喰い民族はいない」というものでした。「不幸なカヌーの事故から生還し、立派である」と評価を受けるが、彼女は真実を語ろうとはしない。そんな不穏なラストでした。

 

 エグさ抜群、カニバリズム全開、そして主要人物のクズさ加減マックスというなかなか面白い映画でした。ツッコミどころを探していたらきりがなく、学術的に検証しようとするとまるで意味のないこの映画。個人的にグッときたのが、一番最初にまるで物語に絡まないのに無駄死にするヤク中くんとマイクと言うクズと付き合っていたばかりに家を殺人現場にされちゃったガイドさんですね。本当にかわいそう。