感想「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
冷蔵庫入るよりよっぽどマシだと思う。
【あらすじ】
雇われシェフのカールはネットの評論家とのトラブルでレストランをクビになる。全てをなくしてマイアミに来たカールはフードトラックを購入し、元同僚のマーヴィンと息子のパーシーと共にフードトラックでキューバサンドを売り歩く旅に出る。
【感想】
なんか評判なのでずっと見たかった映画。思いのほか軽い感じの映画で気軽に見ることができた。それに「ネットでの炎上」「父子映画」「SNSでマーケティング」など自分の好きな要素がたくさんあって面白かった。もっと早く見ればよかった。
この映画のポイントは、序盤のネット炎上のパートがきちんと後半の伏線になってると言うところだと思った。評論家に噛みつき炎上しているのだが、その実際は非難の的というより「おもしろおもちゃおじさん」として消費されたイメージに近い。あんなんYouTubeにアップされた日には現代日本だったら一発でフリー素材として活用されそう。
そんで職を無くしたカールはいろいろあって心機一転フードワゴンでキューバサンドを売りながら再起を図るのだけど、ここから先は完全にサクセスストーリーで気持ちがよすぎる。気持ち良すぎてちょっと不安になる。「世の中そう上手くいくかよ」という気分にもなるけど、前半で盛大に炎上したことが伏線になっていて「炎上で注目を浴びる→そこに実力が公開されて良い宣伝になる」というコンボが効いている。無駄に炎上していなかったのがよかった。
とはいえ、職場を蹴って着いてきてくれる超有能な後輩と宣伝能力がチートな息子とめちゃくちゃキレイな元妻に何故か諸々理解のある元妻の元旦那とかトントンすぎる物語に物足りなさがあるのは否めない。これは物語を楽しむ映画ではなく、ただチートフードワゴンとメシを楽しむ映画なのだ。
邦画のメシ映画といえば思いつくのが「南極料理人」とか「深夜食堂」で、どちらもメシ要素に加えてどちらかと言うとしんみりテイストがあった。「かもめ食堂」もそっちサイドに近い。ところがこの映画はしんみりどころか「超ハッピーめでたしめでたし!」というテンションで突っ走る。途中の父子vineで泣けるけど、あれはしんみりとは違う。ハッピーエンドのための繋ぎだ。
とりあえず「ネット炎上」「父子」「メシ」という要素を明るくまとめた感じの映画で、真面目に見たら「こんな空っぽの映画けしからん」と思うかもしれない。しかしこの映画は空っぽでいいのだと思う。空っぽだからこそメシが美味そうに見える。正直飯テロ度は相当高いのでお腹がすいているときには推奨出来ません。出来れば何かを食べながら見たい映画だ。それこそキューバサンドとか。おしまい。