傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「食人伝説」

 禁じられた場所に入る=ひどい目に合うフラグ。

 

食人伝説 [DVD]

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【あらすじ】

 ニューギニアのジャングルに探検に出かけたまま帰らない夫の捜索にやってきたスーザンと弟のアーサー。現地のエドワードを案内に現地では立ち入りを禁じられている山へ捜索に出かけるが、途中で謎の部族に襲われる。

 

【感想】

 こういう映画の醍醐味としてどれだけおっぱい成分があるかが非常に楽しみだったのですが、意外とおっぱいおっぱいしてませんでした。先に『食人族~最後の晩餐~』を見てしまったせいでしょう。あっちはカニバ成分がほぼない代わりに最初から最後までスロットル全開のおっぱい映画だったので、何度か出てくる主演のウルスラ・アンドレスの裸体は素晴らしかったけど全体的にぼろんぼろんがなくて物足りなかったです。

 

 それ以上に心を抉ったのが、全体的に登場人物がクズいというところです。何があっても「夫を助けるためにどんな危険でも」と言い張るヒロイン。何か悪い事たくらんでいるだろうと言うヒロインの弟。それを助ける案内の人々がどんどん脱落していくのが哀れです。特に序盤でワニに食べられた人とか首ちょんぱな人とかすごく可哀想。

 

 途中からメンバー加入する青年が真面目君で、すっごく怪しい一行を助けてくれるのですが、いろいろあって実はヒロインは「夫を探し出さなきゃ!」と口で言いながら夫の残した地図を頼りにこの山に埋まっていると言う財宝=高濃度のウランを探しに来ていたのだ! ウランを見つけて今まで「真面目君だけが頼りなの……」とシナを作っていたのが急に「さっさと帰り道を案内しなさい」と銃を突きつけるありさま。ありゃりゃーと呆れていると、この映画の主役の食人族=プカ族が槍を片手に乱入! 「おっと、真面目君の生存フラグは俺が立てるぜ!」とばかりにヒロインの弟をぐさり。周りを囲まれた二人は仕方なく彼らの住居へ連行されましたとさ、ちゃんちゃん。

 

 ……いやいや本番はこれからだ。行方不明になったヒロインの夫は彼らの住居内で発見された。腐らせた体に反応し続けるガイガーカウンターをつけたまま、永遠の生を得た神であると磔にされていた。夫の持っていた写真からヒロインが神の妻であるとして何故か変な装束をつけられて磔にされるヒロイン。その着替えシーンはエロかった。この映画の醍醐味はこのシーンに集約されている。もうそれでいいや。

 

 ご馳走(さっき仕留めたヒロインの弟)を食べて満足なプカ族が思い思いに寝入っていると、夜中にヒロインの戒めを解く若者が……助けてくれるのかと思いきやスケベ目的で拘束を解いた模様。すぐに気付かれて引きずり出され、局部を切断の刑。これは痛い。その血で汚れた手を「ばっちぃばっちぃ」と洗い流し、その水場にいたトカゲや蛙を何故か急に貪り食い始める人々。さっぱり意味が分からない。

 

 隙を見て逃げ出す真面目君は、置いていけばいいのにヒロインを助けてプカ族のねぐらを後にします。もちろん後から追いかけてくるけれど、少年漫画の主人公のようにバッタバッタとなぎ倒し、何とか丸太に捕まって川を下って脱出します。はい、今度こそめでたしめでたし。

 

 この映画は人間関係のドラマが非常に退屈なのですが、地味に精神にくるのは意味もなく挟まれる動物が死んでいくシーンです。撮影のために本当に殺された動物はたくさんいて、物語の中で殺されたタランチュラやイグアナは気の毒です。それ以上に途中に挿入される蛇に飲み込まれる猿は物語と特に関係ないのに食べられてしまって本当に本当に気の毒です。真面目君が「動物は殺さない主義で」なんて言ってコブラを素手で捕まえるシーンがあるのですが、どの口がそれを言うかという感じです。カニバというよりなんというより、そういう映画の外に何だか嫌な感じを残した映画でした。蜘蛛さんイグアナさんお猿さんごめんなさい。