傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「座頭市」

 見えねえもんは見えねえんだよ。

 

座頭市 <北野武監督作品> [DVD]

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【あらすじ】

 盲目の剣客市が訪れた町は、やくざの銀蔵一家に支配されていた。市は村の男新吉と賭場に通いながら、とある芸者の姉弟と交流を持つ。やがて姉弟と銀蔵一家の因縁が暴かれ、市は一家の用心棒と対決する。

 

 【感想】

 今まで見てきたTAKESHI映画は『アキレスと亀』と『アウトレイジ』シリーズだけなんですが、 これを観て「あぁTAKESHI映画結構好きだな」と思いました。監督の色がこれでもかと出るのがものすごく好みで、「ああこれをやりたかったんだな」というのが明示されているのがたまらないのだと思います。

 

 で、『座頭市』はそれまでの「座頭市」の文脈に加えて北野武のやりたい放題というのがいいなぁと思いました。基本的に斬新な演出なのに、どこか懐かしいと思ってしまうような画面。登場人物が多く複雑なようで意外と単純なストーリー。そして途中に挟まれるいつものビートたけし節。あの独特の間はやろうと思って出来るものじゃあないと思うんだよ。

 

 個人的にお気に入りが侍に憧れて毎日走り回っている男。非常にシュールでクスっとなるキャラクターなんだけれど、「己を受け入れられず本人は大まじめだけど傍から見れば滑稽に見える」というのはやはりドキリとする。今まで見たTAKESHI作品にもこの手の要素があったので、時間があるとき他の作品にもあるのか見てみたいと思いました。

 

 で、自分にとって映画って基本見たあとじわーっと何か「これはよかった!」とか「あれは最高だった」とか思ってワーワー騒ぎたくなるものなんだけど、この映画は「面白かった!終わり!」っていうのがとても強くて。最後に例のタップシーンを持ってきたからかもしれないけど。てっきりあのタップシーンが話の中盤で盛り上げどころだと思っていたので、もうお話が終わりって時に「え、あのタップシーンは……?」ってちょっと不安になりました。つまりこのお話は最後が一番盛り上がるってことだと思います。TAKESHI作品もっと見よう。おわり。