傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「フリークショウ」

 ただのリメイクだと思って気を抜いたらコレだ。

 

FREAKSHOW (フリークショウ) [DVD]

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【あらすじ】

 あるサーカスに流れてきた悪者たちが護衛として雇われる。悪者の一味ルーシーは団長を色気で誘惑して有り金を搾り取ろうとする。しかしこのサーカスは欠損者が集う見世物小屋のようなもの。団員たちは彼女たちを信用していなかったのです。そして悪巧みがばれそうになり、団員の子供を悪者たちは殺してしまい……。

 

【感想】

 見ようと思った動機はただの「リメイクかぁ」という軽いノリだったんです。元の作品の『フリークス』も見ていたのですが、あれはあれで映画としてまぁまぁ面白かったと思うんです。それの色つきバージョンくらいに考えていたんです。本当に。

 

 話は単調に進んでいきました。金目当ての女が金を持っている奇形の男に言い寄って、その祝言で交わす盃を拒否して「あんたたちみたいな化け物とは違う!」と叫ぶストーリーは変わりません。『フリークス』ではこのシーンが映画のヤマとなっていましたが、今作ではそういう感じではありませんでした。何ともあっさり終わってしまったので、だらだら出てくる悪者たちの悪巧みに延々と付き合うしかありませんでした『フリークス』では全員本物の見世物小屋で働いていた人を使っていたのに対して、今作は何人か特殊メイクの人もいて、そういう意味で退屈というのもありました。

 

 ここまでなら「退屈なリメイクだった」で終わるのですが、この映画の業が深いところは終盤からの怒涛の展開です。『フリークス』では騙されていた上に命を狙われていたことがわかった男を中心に仲間たちが復讐を果たすのですが、今作の復讐シーンの引き金は「仲間の惨殺」でした。「何もそこまですることはないだろう」というメタメタな殺し方をされたことで、団員たちの怒りのボルテージは『フリークス』以上にMAXを超えて大変なところへ行ってしまうのです。ならず者の男たちの方は適当にのして、いよいよ結婚詐欺女ルーシーに対する復讐が始まるのですが

 

 正直こんなにグロい映像が来るとは思わなかったよ!!

 

 身構えていないグロはかなり精神に来ます。『フリークス』では映像的に残虐なシーンはそれほどないのですが、今作は完全にスナッフムービー状態でした。「私たちの仲間になるために我慢してね」と言って

 

 まずは舌を切り取って

 口を縫い合わせ

 足の指を切断し

 全身の皮を剥ぎ

 最終的に四肢も切断する

 

 なんかほのぼのするBGMと裏腹の血みどろ劇場が繰り広げられる画面。しかもしつこくしつこく拷問シーンを映すわけです。いや、強調するのそこじゃないでしょ、この映画のテーマ的にそこじゃない、もっと違うところに力入れようよと何度画面に突っ込んでも、延々と拷問シーンは終わらないのです。そしてオチは『フリークス』と一緒ですが、その見た目の残虐さは圧倒的にリメイクされていたわけです。

 

 これは後半15分くらいからの怒涛の展開にポカンとなるための映画でした。ほとんどがくだらないメロドラマで、急に脈絡もなく殺人劇場が始まる何とも言えない作品です。とりあえず一本筋のテーマがある『フリークス』に比べて、まるで何をしたいのかよくわからない映画でした。ポカン映画です。グロが平気な人は一緒にポカンとしましょう。