傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「深夜食堂」

 お腹が減っているのはよくない。

 

映画「深夜食堂」
 

 

【あらすじ】

  深夜から営業を始める小さな食堂「めしや」には、様々な事情をかかえた客が集まる。マスターは作れるものは客のリクエストに応じて作る。人々はそんな「めしや」を「深夜食堂」と呼ぶ。

 

 【感想】

 飯テロ映画なわけですが、 飯を主役にした映画は必然的に人間の心をよく表現してしまうと思っています。ドラマ版を見たことがなくて原作をちらっと見ただけの深夜食堂歴なのですが、全体的に雰囲気があっていいですね。話も落ち着いていてゆったり鑑賞することができ、続編も見たくなりました。

 

 この映画は主に3つのエピソードからなるオムニバスと、根底に流れる骨壺のストーリーとで構成されています。「ナポリタン」ではすれ違う男女を、「とろろご飯」では上京して苦しい女の子を、「カレーライス」では出会うはずがなかった男女の話でどれもじんわりと心にしみるような話です。個人的に「カレーライス」はモンヤリなんですが……。

 

 「ナポリタン」は何だかんだいっても話がシンプルだし、「まぁそういうこともあるよねー」という感じだった。元愛人、という時点でそういう生き方を選んでいる人が陽の当たる場所に戻れるとは思わないし、何だかんだ言ってもお金が大事なんだろうというのもよくわかる。そういうキレイゴトではない何かを覆うように敷かれた卵焼きとナポリタンは見ていて本当においしそう。夜中に食べるからおいしいんだろう。

 

 「とろろご飯」は話の展開がきれいで無駄がなく、また絵もサマになっているシーンが多くて出てくるご飯みたいにおいしそうなパートでした。何より多部未華子のモサい女の子の表現力がすごい。全力でモサくて行き場のない感じを出しているのに、後半シュッと見せてくる。そんな彼女もこの映画の見どころのひとつだと思う。

 

 「カレーライス」は被災者支援をテーマにしていたけど、流石にこんなに往生際の悪い男がいたら周りの理解ある人が止めに入るだろうとは思うのでなんだかモンヤリ。話のオチもそういうわけで無理矢理のような気がするのでなんともどうなんだろうという気持ち。あと福島に帰るのに新宿からバスに乗っているので、この人の仮設住宅などは郡山など内陸部の方にあるのかななどと細かいところも気になってしまった。

 

 そして最後にマスターがずっと悩んでいた落し物の骨壺の持ち主が現れる。骨壺の意味を考えて、そしてまたおいしいご飯を食べて閉店まで静かに時間が過ぎていく。

 

 割と頭空っぽにして見てもわかりやすいし、とにかく飯がおいしそうなのがいいです。最近飯をテーマにしたドラマも増えてきているし、飯映画っていうのもアリだろうなぁとは思う。深夜補正かかってておいしそうだし。おわり。