傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「アナコンダ」

 本当に怖いのはモンスターより人間。

 

アナコンダ Blu-ray
 

 

【あらすじ】

 南米に住む先住民の調査と撮影にアマゾンにやってきたテリーとその一行。途中でサローンという男を助けるが、彼は伝説のアナコンダを捕獲するためにテリー一行を利用しようとする。

 

【感想】

 いつの頃だったか、金曜ロードショーか何かをかけたらやっていたのがおそらく「アナコンダ2」で、人々が小屋か何かに逃げ込むんだけど巨大な蛇が追ってきてパクリと食べられてしまうシーンをじーっと観てしまったことがあった。その時は「怖い映画だ」と強く思った。それから幾年。何が怖いかわからなくなってきた。年を取ると忘れることもあるもんだ。

 

 そんなわけで気軽に「アナコンダの無印見てみよう」と観て見たのですが、これアナコンダの映画じゃないですね。どっちかというと「人間怖い」系の話ですね。文脈でいうと「モンスターパニック」に加えて「実は文明人が一番怖い」という話の系列です。モンスターパニックは単に巨大なモンスターが出てきて怖い、というものですがそこに「何故モンスターが巨大になったかというと人間のエゴのせい」みたいな文脈が大きく絡んでくると「実は文明人が一番怖い」という話になります。

 

 この「アナコンダ」では確かに脅威は巨大アナコンダですが、物語の悪役は蛇ではなく蛇ハンターのサローンです。金儲けのために蛇を捕まえることを第一とし、助けてくれたクルーたちも半ば洗脳して蛇探しに付き合わせていきます。「とにかく蛇は金になるからてめーらの命よりも優先させる!」というまるで感情移入できないキャラクターはある意味清々しく、観客に「よし、こいつは最後に悲惨な死に方をするぞぉ」とわくわくさせます。「アナコンダさん、やっておしまいなさい!」というのがこの手の映画の醍醐味です。

 

 さてそのアナコンダさん、結構怖いです。やっぱり「頭から丸のみ」という死に方は結構きついものがあると思うのです。蛇のお腹のところにボコっと人型の何かがあるとか、かなりキツイ。ああなるとどの時点まで生きているのだろうか。蛇に締め上げられて絶命していれば別だろうけど、消化器官にたどり着く前に窒息死あたりになるのだろうか。どのみち非常に嫌な死に方だ。落語の「そば清」みたいに何らかの草の作用でとろかされるのもイヤだなぁ。アナコンダが怖いと言うより、アナコンダに襲われた結果が非常に怖い。

 

 そして非道サローンVSアナコンダVS正義の主人公たちの図式になだれ込んでいきます。アナコンダは人間の善悪なんか気にしないで手当たり次第(手ないけど)襲い掛かってきます。サローンは正義の主人公たちを囮にアナコンダを捕まえようとします。ところがここで大人しくアナコンダに食べられていては主人公たちの立つ背がありません。何とか知恵を絞ってアナコンダ地獄から脱出。サローンはめでたくアナコンダさんの養分に……。

 

 お話としてはこの手のパターンをまんま踏襲しているので面白いところはあまりありません。見どころとしてはアナコンダさんが頑張っているあたりです。アナコンダの恐怖と人間怖いを同時並行してしまったので、どちらに感情を振っていいのかわからなくなった感じはあります。昔見て怖かったのは確か「2」だったと思うんだ。だけど、確かじゃない。「2」を見ればわかることだけどね。三月の午後ローあたりでヘビ特集やらないかな。「木曜日はヘビ!」みたいな。