傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ANNIE/アニー」

 明日があるさ 明日がある 若い僕には夢がある

 

アニー(字幕版)

アニー(字幕版)

 

 

【あらすじ】

 孤児のアニーは親に置き去りにされたレストランの前で毎週金曜日、両親を待ち続けている。ある日犬を助けようと道路に飛び出したところを携帯電話会社の社長スタックスに助けられる。その様子がたまたま動画で撮影され、インターネットで話題になるとスタックスは近々出馬するニューヨーク市長選挙の人気取りに、アニーは両親を探すために共に住むことになる。

 

 【感想】

 ミュージカルで有名なアニー初挑戦です。そのためやはり映画もミュージカル仕立てで、歌やダンスは非常に楽しく見ることが出来ました。ミュージカルの脈絡なく歌が始まるところが好きです。なんか楽しそうで。

 

 ただ、この作品は映画としてみると「ミュージカルパートに全フリしている」印象が残りました。心理描写を全部ミュージカルパートで済ませて、お話の進行が通常パートといった感じです。お話も元祖アニーをベースにしているのはわかるのですが、やっぱり現代版アレンジがイマイチかなぁと思いました。

 

 おそらく富豪という役割を携帯電話会社社長、そして市長選挙に立候補する野心がある人物にしたところで何とも陳腐な感じになってしまったのが一番の敗因のような気がする。とは言っても2010年代の「誰もが思い描く富豪」という役割はビル・ゲイツをはじめとするIT企業の社長などだし……。もともとのアニーは世界恐慌の時代の話で随分と昔の世界のことだからなかなか価値観が合わないのも難しいところだけど、もう少し何とかならなかったかなぁと思います。

 

 あとやっぱり現代の話になってくると、アニーがあの年まで字を読めないことに誰も気づかないというのは少し無理があるような気がするのです。昔ならいざ知らず、学校にも通っているのに誰もアニーのことを気遣っていなさすぎのような気もする。それだけアニーは誰からも関心を払われていなかったと考えれば良い気がするけれど、それにしても、やっぱりなぁ……それともアメリカではまだ識字率は低いのだろうか。最後の識字センターは移民対策かなぁ。

 

 そうは言ってもやっぱり現代版にしたことでの意義はたくさんあると思う。後世に「2010年代のニューヨークはこんな感じだったんだ!」というにはちょうどいい映画かなと。スタックスのオシャレな自宅やアニーの学校での様子、ニューヨークの街並みに携帯電話の文化などなど。正直SNSでアニーの居場所がわかるシーンは現代的だと思って面白いなーとなったけど、よく考えたら有名人だからと言って写メって無断でネットにあげるリテラシー怖いわ。

 

 そんなわけでお話に期待しない感じでみたい感じの映画です。ミュージカルパートは結構気合入っているので楽しいと思います。これは楽しい映画なんです、多分。