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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「グロテスク」

 ラスト10分まで頑張る。

 

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【あらすじ】

 急に知らない男に拉致されたカップル。男は「人が死ぬ前に見せる感動を味わいたい」とカップルを拷問する。

 

【感想】

 白石晃士監督作品ということで楽しみに鑑賞。前情報一切ナシで観たのですが、普通にスプラッタでした。スケールの小さいホステルですね。

 

 しかし、ただ画面だけ見ていると退屈なスナッフなのですが全体を眺めるとこの異様な空間が面白くて観終わった後何故かものすごい達成感がありました。「何故拷問を受けているのか」が途中まで非常にわかりにくい。「感動が欲しいから」という動機は理解できるけど、それってそこまでしないとダメなの?バカなの?死なすの?みたいなそんな状態で「ほーら指ネックレス」とか見ていて頭の中がはてなマークでいっぱいでした。

 

 なんていうか、拷問を受けるまでに「何故彼らが選ばれたのか」や「どれだけ異常者なのか」というシーンが一切入っていない。ただぼーっとした感じのナレーションなどがあるだけ。だからこそ拷問がクローズアップされ、画面を見るしかなくなる。観客は「どうして俺たちなんだ」という被害者の疑問を一緒に抱くことになる。なかなか凝ったスナッフだ。

 

 それで腕切断に睾丸五寸釘局部切断のエッグいシーンが終わった後、何故か急に「感動した、君たちを助ける」と言って最大限の治療を施す。キョトンとするカップル二人だけど、「ここまでしてくれるなら……」と油断する。もちろんそんなことで済むわけがない。一度安心させておいて後から絶望と言うのは拷問界の基本です。(なんだその界隈)

 

 再度始まった拷問タイムは「生きたまま腸を腹から出しながら彼女の拘束を切る」というなかなかイカしたものになっていて、確実に死ぬレベルのひどいことになっている。しかも彼女の元に到達するまで、おそらく腸の長さが足りないと思われるので自分で腸を切断する必要がある。なんていう「終わらない夏休み」なんだ。

 

 そんで健闘むなしく彼氏は力尽きてしまい、残された彼女はどうせ助からないと開き直る。「アンタが愛されないのはワキガのせいだよ」とせせら笑い、逆上した男に首を斬られるという末路を迎える。ここの彼女役の長澤つぐみさんの表情がものすごくしびれる。今まで怯えるだけだったのが最後の10分で急に生き生きと罵倒し始める。なんていうか、最高。あんな顔で罵られたい。

 

 一応「人の生き死にに勝手に感動してんじゃねえよボケ」っていう純愛お涙系にカウンターを撃ったような作品です。人が死ぬのってそんなにドラマチックでも悲劇的でもなくて、たた単純に死んでいくんだろうなぁとは常々思っています。「どうせ死ぬなら」になったら人間は強い。そんなことを考えた作品でした。