傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「デス・プルーフinグラインドハウス」

 ラストまで我慢するのだ。

 

 

【あらすじ】

 バーでとりとめない話をしている女の子たち。そんな女の子たちを送っていくという男がいた。彼の車は耐死仕様(デス・プルーフ)であると言い、女の子たちの車へ突っ込んでいく。

 

 【感想】

 最後まで見てよかった!

 

 そんな映画です。そしてこの感想は非常に雑です。重厚なタランティーノ監督論が見たい人は残念でした。

 

 元々「タランティーノはグダグダしたシーンを入れたがる」とか「グラインドハウスとは質の悪い映画を2、3本立て続けに流していたアメリカの映画館」とか後から調べればそのくらい知っておかないといけないことなのですが、そういうことを知らないで本作を見ると最初から20分で音を上げると思うのです。

 

 とにかくひたすら面白くなるまでが長い。

 

 我慢して我慢して女の子たちがだべったり踊ったりしている場面を延々と見続けます。大体30分以上。特に何がある訳でもない。Youtuberが「えー今から〇〇してみたいと思いまーす」みたいな感じ以下の心底どうでもいい感じの話が続くだけです。マジで。

 

 それから我慢して我慢して、バーを出てからが急展開。「送っていくよ」と乗せた女の子が「何この車」となったところで「実はこの車はスタント仕様で壊れにくいんだ」とか言いながら急発進急ブレーキ。ヒャッホーとなったところでさっきのだべり女子の車に正面から突っ込みます。派手にクラッシュクラッシュ。ドカーン。前半のグダグダを全て吹き飛ばす衝撃。正直目が点になりました。

 

 それからデス・プルーフだった男だけ生き残り、「奴が狙ってやったことなのは間違いないが、証拠がない」と病院で悔しがる警察の方々が挟まれてこのパートはおしまい。「お、ここから話は面白くなるのかな?」と思ったら……。

 

 また女の子のグダグダパートが始まった。

 

 今度はスタントマンの女の子とかみたいです。例によってグダグダしまくって、いよいよ車のシーンになるわけなのですが、今度は女の子たちがまずヒャッハーを始めます。車のボンネットに乗って走るとか、「ごめん正直意味わかんないし画面の中で何が起きているのか理解が出来ない」という思考に陥っているのですが身体は画面から目を離せなくなります。不思議ですね。

 

 そうこうしているうちに例のデスプルーフがやってきて彼女たちをガンガン攻撃し始めます。手に汗握るカーチェイス。「正直意味わからん」という脳みそと裏腹にアドレナリンはドバドバ出ます。そんでデスプルーフは彼女たちを追い詰めます。「ヒャッハー!これでクソ女どもをザマァだぜ!」みたいなテンションで走り去るデスプルーフに「ガッデム!」となった彼女たち。なんと反撃に出ました。

 

 この辺から「意味わからん」の思考回路がほどけてきて、もう何も考えることなく画面を見続けていました。デスプルーフを追っかけてボッコボコにして、そんで車から引きずり出してさらにメッタメタのギッタギタのけっちょんけっきょんにしまくる彼女たち。そこでババーンとエンド。テンションがギンギンに上がっているところで急激なエンド。

 

 結果「うわぁ面白かった!」ってなります。一番面白いところで終わるのですから、面白いに決まっています。グダグダパートはここを盛り上げるために存在しているようなものだと思いました。もちろんグダグダパートこそが本編と考えてもいいと思います。ただ全体的に小難しいことを考えず、頭を使わないで全編「うぇーい」というテンションでただ画面を見続けるのがこの映画の正しい鑑賞方法なんだと思いました。ウェーイ。おわり。