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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「皇帝ペンギン」

 クールミントガム。

 

皇帝ペンギン プレミアム・エディション [DVD]
 

 

【あらすじ】

 夏の終わりに海から氷の上に上がる皇帝ペンギン。彼らは冬の間氷の上で卵を暖め、春まで子育てをする。そんな皇帝ペンギンの姿をとらえたドキュメンタリー。

 

【感想】

 淡々としたドキュメンタリーなんだけど、魅せる。単に自分が動物系ドキュメンタリー大好きっ子だから思うことかもしれないけれども。

 

 とにかく「どうやって撮影したんだ」というレベルの映像のオンパレード。ペンギンのコロニーを見守るところや海中での様子、一番すごいと思ったのはアザラシに捕まるペンギンのところ。よく映像を撮ったなぁと思うのです。すごい。全体的に海中シーンは映像単体でキレイです。夏にノンストップリピートしたい。

 

 打って変わってブリザードの吹き荒れる極寒のコロニーは「撮影している人たちも寒いだろ!」という感じ。ペンギンは団子になって、順番に輪の中に入りながら何とか暖を取る。この寒さの中、足の上の卵を落としてしまえばたちまち凍り付いてしまう。そうやって割れていく卵や、そもそも体力をなくして死んでいくペンギンも多い。

 

 メスが卵を産むと卵をオスに預けて、片道20日ほどかかる海へ行き食事をする。その間ペンギンのオスは卵を抱き続け、メスの帰りを待つ。実に4カ月も絶食状態のオス。無事にメスが返ってくると、今度はオスが海へ行く。その旅路で命を落とすオスが多いらしい。だからペンギンはメスの方が数が多いらしく、繁殖期はオスをめぐってメスが争うらしい。

 

 雛が生まれてからの生活も過酷。外気に触れれば死んでしまう雛を守ったり、トウゾクカモメなどの天敵から守ったり、とにかく子育ても命がけ。そして海の氷が解けてきた夏に、雛は独り立ちをする。

 

 この映画はハラハラドキドキしてみるようなものでもないけれど、やたら教養ぶっているわけでもない。その絶妙なバランスにペンギンがよちよち歩きしている感じだ。「映画を見て何かを得よう」と思っている人には響かない。何故なら、この映画は何かを伝える映画ではなく、ただそこにあり続けるだけの映画だからだ。ペンギンがいました、子供が生まれました、よかったね、おしまい。それだけ。その「それだけ」から何を感じ取るかは、見ている人間側の感性が大事になってくる。つまりこれは人を選ぶ映画だ。何かを得ようとする受け身の姿勢では何も得られない。そんな大自然の過酷さをまざまざと見せつけられた感じがするのです。

 

 あと不評な愛のナレーションは、フランス映画なので仕方ないかなという感じです。でも、昨今の日本の動物番組のふにゃーとしたナレーションに比べれば淡々としていて、まるで問題ないと思うのです。それだけ日本の民放の動物番組はひどい。『ダーウィンが来た!』のポップなのにうるさくないナレーションを見習ってほしい。