傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ヤコペッティの世界残酷物語」

 まったりドキュメント。

 

世界残酷物語 [DVD]

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【あらすじ】

 食や性、そして生死に至るまで世界各地の風変わりな風習を描いたドキュメンタリー。そしてこの作品以降このようなヤラセを含んでいそうないかがわしいドキュメンタリー風の映画を「モンド映画」と呼ぶようになる。

 

【感想】

 とりあえず有名どころを押さえておきたいと言う一心で鑑賞。基本的に観たい映画はあまり情報を入れないので先入観が今作と『食人族』と混ざっていたようでワクワクしていたのですが、基本的に何にも残酷なところはありませんでした。屠殺とか血まみれ祭りとかはちょっとショッキングかもしれないけど。

 

 邦題に釣られて残酷なシーンを期待していたら、そうでもないです。そういう残酷なシーンがみたかったらテキサスチェーンソーでも見ていればいいです。実際ドキュメンタリー風味なので映像も過激でなく、淡々とナレーションが流れるだけです。

 

 でもこの映画が公開されたころの時代で考えると、南国の人の暮らしなんて「未開の野蛮人」みたいなところもあったろうし、たびたび出てくる中国や日本の文化をバカにしている感じが何ともいえない。特に「東京風呂場」は一体何だったんだろう。そういう集団ソープ店か何かだったんだろうか。中でも「死者の家」のシーンはなかなか味わい深い。「死にそうな人を収容するのが死者の家で、家族はその家の周りで『早く死んでくれ』という宴会をする」というある意味グロテスクな構図。弱っていて今にも死にそうな老人と外でのどんちゃん騒ぎを交互に映すのは、ある意味悪趣味だなぁと思いました。で、コレ本当の風俗なの? よくわからない。そのふわふわしたところが面白いのかもしれない。

 

 印象に残ったシーンはタピオカで女性を肥えさせて酋長に献上する部族。何人か奥さんがいて子供を10人くらい産んでいて、でっぷりと体格のいい母ちゃんならそのくらい出来そうで、その父ちゃんはどんな立派な男なのかと言うと「体重34キロ」というオチがついている。そのギャップに思わず笑った。

 

 ただ、最後の未開の部族とカーゴの飛行機信仰は「やらせ臭が半端ない」っていうのがプンプンで退屈で眠くなった。飛行機の模型を何だかんだというナレーションを聴きながら気分が遠くなり、気が付いたらタイトルに戻っていた。大体「金属を知らない部族」の女の人が何か光るものを持って裁縫らしきことをしているんだけど、あれは一体何だったんだろう。この映像は「やらせ」としてかなり有名だけど、それが見れただけよかったことにしよう。サスペリアの「男の顔」シーンみたいな感じだ。

 

 全体的に見るとふざけたところもあるけれど真面目なところもあって、評価に困る作品です。何より音楽がいい。心地いい。それの評価を覗くと、やっぱり見なくてもいいかなぁという映画です。ただふざけたこういう衝撃映像系が好きな人は見てもいいかなと思います。

 

 ちなみに自分はモンド映画、嫌いじゃないです。そういうの割と大好きです。今日の鑑賞会、おわり。