傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「キル・ビル」

 ヤッチマイナー!!

 

キル・ビル Vol.1 [DVD]

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【あらすじ】

 裏稼業から足を洗い、幸せになろうとしていた女殺し屋、通称ブラック・マンバ。裏切り者は許さないと彼女の婚約者や関係者を全て殺した雇い主のビル。自身も半殺しにされながら何とか生きのび、壮絶な復讐劇が始まった。

 

【感想】

 タランティーノ的な世界のウルトラバイオレンスアクション映画。そんな印象で見始めて、実際そんな感じの映画だったという感じです。なんか面白いどんでん返しがある訳でもなく、難解なシーンがあるわけでもなく、ただひたすらズバドシュザシュシュという世界なわけです。

 

 でも映像自体は面白かったです。時系列はめちゃくちゃだし、途中でアニメが入るし、なんか小道具がいろいろ滅茶苦茶だし。何より「海外の人が考えたエキゾチックジパング」的な日本描写がたまらない。寿司屋のシーンは最高だ。ヤクザの抗争に指を切れ腹を切れの仁義なき世界っていうのは何か向こうの人のハートに火をつけるものがあるのでしょうか。一応マフィア映画だよね、仁義なきシリーズって。

 

 そんなわけでルーシー・リューの「ヤッチマイナー!」以降のチャンチャンバラバラ血まみれどっくどくワンワンワールドですが、なかなか面白かったです。「ああこれがやりたかったんだな」っていうのがわかると結構面白がって見てしまう性格です。ああいうちぎっては投げちぎっては投げみたいなシーン大好きです。あと前哨戦で小物が「うりゃあああ」って襲い掛かってバッサリ、とかね。とにかく殺陣をいろんな形で表現したい、みたいな感じがゾクゾク伝わってくるのよ。照明が消えて影のシーンでは「おお、映像がオサレ!」とちょっとワクワクしました。そして天丼とわかっていてもオチのぼっちゃんは笑ってしまう。

 

 あと栗山千明がかわいい映画でした。ひとりだけ謎の女子高生ルックスとかトゲ付鉄球とか「完全に映像の趣味じゃん!」みたいなところがたまりません。キャラを作りこんだ結果よくわからないものになってしまったけど、栗山千明だから許せる、みたいな謎のキャラでした。奮闘具合にやられ具合含めて可愛かったと思うよ、うん。

 

 ただどうしても「似非エキゾチックジャポニズム」というとセガールの「イン・トゥ・ザ・サン」のほうがオサレ感が皆無になったという点ではっちゃけ度は上だと思うんだよな。「これヒト斬れますよこれ、ね」とか最高だと思うんだけどなあ。