傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ドラゴン 怒りの鉄拳」

 アチョー! ホワチャー!

【あらすじ】

 中国武術の達人、精武館の霍元甲が不審死をとげる。愛弟子であったチャンはひどく悲しみ、隣の日本武術の道場からの嫌がらせに一人で報復に行く。チャンの襲撃に怒った鈴木師範は精武館に対して更なる圧力をかけるが、霍元甲の死に日本人が絡んでいることをチャンは知る。これ以上精武館に迷惑をかけられないと出奔したチャンは、復讐を始める。
 

【感想】

 アター!
 ホワチャー!
 キェーッ!


 そんな話です。おわり。

 それは冗談として本編の話をすると、構造は非常にシンプルです。悪い日本人がいて、中国拳法の道場に対して圧力をかけてくる。そこに空気を読まずにブルース・リーが乗り込んでいって悪い日本人をやっつけるという話。この辺は当時日本で公開するときも不安の声があったらしいけれど、ストーリーなんてあってないようなリーの勢いで人気作品となった。

 とにかくアクションを見ているだけで面白い。リーが一人で日本人の道場に乗り込んでいくとき、どう見てもやられ役の日本人が面白い。雑魚には雑魚の役割があるって感じ。その後出てくる中ボスっぽいのやラスボスの鈴木師範まで多彩なアクションが楽しめていい。でも「ドラゴン危機一発」と違ってリーが圧倒している気がする。

 そして貴重なリーのラブシーンもこの映画の見どころ。あらすじは結構大雑把でアクションシーン以外は(主にリーの変装シーンあたり)「おいおいご都合主義だな」と思うところもあるけれどこの恋愛関係は割と真面目。亡くなった先生のお墓にいたというところはちょっと美しい感じもした。

 そして一番印象に残っているのがラストシーン。立派に仇討ちを果たしたリーなんだけど、最後に武装した警察の中に突っ込んでいくシーンで終わり。あれだけ頑張った主人公が最後は死んでしまうことを示唆して終わるって、結構な衝撃だと思う。簡単にめでたしめでたしじゃないからストーリー自体が生きていると思う。

 この映画も「考えるな、感じろ」系の映画なのでストーリーのつじつまとか考えてはいけないです。とりあえずブルース・リーがすげぇって思えればいいと思います。