傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「映画クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃」

 安心してください。

 

 

【あらすじ】

 いつもの野原一家がいつもと同じような夢を見ていると、突如巨大な魚に食べられると言う夢を全員が見たと言う。時を同じくしてしんのすけの幼稚園にサキという少女がやってくるが、サキは周囲と壁を作ってしまう。その晩から、かすかべの人たちは同じ夢を見るようになる。子供は自由自在に楽しい夢を見ることが出来たが、大人は魚の外へ噴出され悪夢に苦しめられることになる。かすかべ防衛隊は集団悪夢事件の謎を解明するべく、サキを防衛隊に勧誘する。

 

【感想】

 すごく評判のいいクレヨンしんちゃんの映画として見たけど、やっぱりいいね。しんちゃんの映画にはたまにすごいホラーが紛れていて、それが一部のコアなファンにはたまらないようだ。怖いと評判の『踊るアミーゴ』はまだ観てないけど、個人的に『夕陽のかすかべボーイズ』もなかなか怖いと思うぞ。

 

 そんで悪夢の世界が舞台と言うわけで結構ホラー方面はやりたい放題やっています。怪物が出てきて襲い掛かる、というのだけでも子供には十分怖いのだけれど、この映画の本当に怖いところは「一緒に見に来た大人もゾッとさせる」というところだと思う。正直ヒロシの悪夢全般は本気でシャレにならないし、みさえの悪夢も現実だったと思うとかなりおっかない。

 

 夢のシーンが怖いのは当たり前なんだけれど、この映画で描いたサキの物語が相当に堪えた大人は多いと思う。母親を早くに亡くしたサキは父親と細々と暮らしているのだけれど、生活力に乏しい父親がサキの世話をあまり出来てないことを象徴しているシーンの寒々しさが生々しくて「やめろ!」と画面に向かって叫びたくなるような、そんなシーンになっていた。その後野原一家でお好み焼きを食べるシーンも痛々しい。

 

 そしてクライマックスは何だかんだと泣けるようになっているのですが、「とにかく明るい安村」の使い方が非常に上手だなと感心しました。彼自身のネタが完全に一発ネタで、そしてクレヨンしんちゃんと非常に相性のいいネタだったというのもよかったです。終盤の彼の使い方は卑怯だと思う。なんていうか、ああいうツール枠という意味でも非常に押さえていたなあという印象です。

 

 あと子供にも分かりやすいギャグもあれば、一緒に劇場に来たお父さんお母さんも退屈しないようなギャグがあるのがいいですね。しんのすけの夢の水着運動会ネタは子供だからわからない、というよりとある年齢から下はそういうものの存在を知らないんじゃないかなぁ、とか思ったり思わなかったり。

 

 サキ一連の流れが重たいけれど、夢の世界でおバカなことを繰り広げているのでおバカ映画として気楽に見ることもできます。特に終盤のひろし&みさえのおバカっぷりはなかなかひどいものがあるので是非見てほしいなあ。