傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「地球爆破作戦」

 ロボットに感情などいらない。

 

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【あらすじ】

 時は冷戦が続いている近未来。アメリカではフォービン博士が知性を持ったスーパーコンピュータ「コロッサス」を開発する。同時期にソ連も似たようなコンピュータ「ガーディアン」を開発する。コロッサスとガーディアンはお互いを感知し合い、やがて人間の制御を離れ超知性体として人類を管理しようとする。

 

 【感想】

 すげえチープな邦題にわくわくしたら、結構真面目なSF映画だった。地球爆破はありません。邦題詐欺だ、クソが。

 

 それは置いておいて、「もしもコンピュータが反乱を起こしたら」の世界を描いているのがこの映画です。 全体的に相当時代物のコンピュータですが、「管理社会」というものを物理的に描いているところが最高にクールです。『1984年』のじっとりした監視体制とは違って、こちらではコンピュータがカメラ越しに命令をしてきますし、コンピュータの演算によって人の生死も決められます。

 

 主人公のフォービン博士を始めアメリカもソ連もまさかコンピュータが反乱を起こすとは思っていませんでした。そのおかげで人間同士は一時休戦と言う形でコンピュータの脅威を取り除こうと奮闘することが面白いです。コンピュータを欺くために一切の電子機器を使わずに直接交渉に赴いて「これであいつらにはばれないぞ!」という姿は何とも滑稽で、「共通の敵がいれば争いは終わる」っていうのを体現しているなーと思いました。

 

 またこの映画の中盤の山場の「コンピュータに監視されるフォービン博士」のパートは「人間と機械の違い」というところを強調しています。フォービン博士は恋人を装わせた科学者とベッドの中だけでコロッサスに対抗するための話をします。それ以外は全部コンピュータに行動を把握され、常に監視カメラと集音マイクの前に立たされ続けます。フォービン博士は感情のないコンピュータであれば常に冷静な判断ができると考えたのですが、逆に情と言うものを理解しないために人間を次々と殺しても何とも思わない怪物が生まれてしまったのです。

 

 この時代からくだっていって『チャッピー』を見るとまた面白い発見がありそうだなあ。『チャッピー』の人工知能観よりもそれと人類がどう付き合うべきかというところは必見の面白さだと思ってる。

 

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