傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」

 赤の女王の秘密が明らかに……?

 


映画『アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅』予告編

 

【あらすじ】

 アンダーランドの大冒険から、アリスは船乗りになっていた。久しぶりに故郷に戻ってくると、家か船かを選ばなければいけなくなっていた。人生の岐路に立たされたアリスの元にアブソレムが現れ、再びアンダーランドへアリスは招待される。今度はマッドハッタ―が死んだはずの家族はどこかに生きていると言い張っている。アリスはマッドハッタ―の家族を救うために、時空を超える危険な旅に出ることになる。

 

【感想(ネタバレなし)】

 前評判が「続編だからねえ」というところだったので期待しないで言ったのですが、やっぱり映像は非常によかったです。冒頭の嵐のシーンは3Dで見に行ったので、迫力満点でした。無事に港に着いたときに「いい最終回だった」と思ったのはここだけの話です。

 

 そして新キャラクター「タイム」ですが、彼はなかなかいい味を出しています。時の化身の彼の城は機械の集合体のようで、部下の「秒」たちもキュートです。この映画は時を操る「クロノスフィア」を持ったアリスを追いかけていく「時間」たちの物語でもあります。その時空間の映像もなかなか凝っているので、映像の洪水に浸りたい人にはオススメです。

 

 更に注目ポイントは、赤の女王の過去でしょう。何故彼女の頭は大きくなってしまったのか、そしてあのような性格になってしまったのかという理由が語られます。その一部始終を目撃してしまうと、前作のような傍若無人ぶりも素直に悪人だからと許容できないでしょう。

 

 以下、物語の核心を突く可能性のある感想になるのでお気をつけてください。

 

 

【感想(ネタバレあり)】

  何よりタイムがカワイイ映画でした。登場シーンから盛大にコケて、不思議の国の住人ならではの情緒が不安定な話し方。そして半身が機械と言う非常に限定的で個人的な萌え要素で「このオッサンかわええ」と思いながら見ていました。「時間と追いかけっこしても敵わない」と笑いながら追いかけてくるシーンは最高です。そしてラストの一言も最高です。この映画はこの「タイム」と赤の女王のためにある。もうそれでいいです。

 

 疑惑の赤の女王の過去ですが、割と納得のいくものでした。頭を強打してああなってしまったということですが、そのときにいろんなネジもその時に落としてしまったのでしょう。そうであればかなり気の毒な人です。見た目のへんてこりんさから本心を理解してくれるものもなく、集まってくるのは彼女の権力目当ての者ばかり。そりゃ根性だってねじ曲がってしまいますよ。そもそも彼女のサイズにあった王冠を最初から作っていれば、あんなことにはならなかったのでは……? という疑問でいっぱいなのですが、深く考えてはダメなのでしょう。

 

 脚本全体については、「こんなもんだろう」というところです。そもそも「不思議の国のアリス」自体が荒唐無稽で話の筋も何もあったものではないものです。それを映画としてわかりやすく冒険活劇にしてある時点で、及第点です。「不思議の国のアリス」のコンテンツは割とビジュアル重視だと思っているので、映像がすごければいいんじゃないかなぁといつも思っています。整合性やどんでん返しを期待しても無駄だなぁ、と。女性解放のメッセージも入っているけれど、それを抜きにしても迫力ある映像が楽しいです。

 

 個人的な見どころは、前作で赤の女王の側近を務めていたステインのその後です。あそこは大体の人が笑うところだと思うので、大笑いしてください。