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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ヤコペッティのさらばアフリカ」

洋画 ドキュメンタリー B級 カルト

 モモモモモキュメンタリー。

 

ヤコペッティの さらばアフリカ [DVD]

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【あらすじ】

 植民地支配が終わって近代化したアフリカ。そのひずみが様々なところに現れて浮かび上がる。残酷な映像の中にある真実をあなたは直視できるか。

 

【感想】

 「ヤコペッティの」というのがついている時点で「ああヤラセですねはいはい」となるのですが、このアフリカのドキュメンタリーは序盤は非常に面白かった。近代アフリカ史にそれほど詳しくないので、どこが独立した時はどんな感じというのがわかってためになった。

 

 だけどなんとなく「歴史がわかっていいなぁ」と思ったのは最初から30分くらいまで。それから先は『世界残酷物語』で観たような動物が殺されてますよーとか、人間も殺されてますよー、とか。その映像がセンセーショナルすぎて、あまりにもクサイ。「ほらほら、こんなに残酷なことをしているからね!!!」と意気込むあまりにリアルから遠ざかっているような、そんな感じ。特にゾウを追い詰める現地人のシーンで「白人はライフルで狙うけど、地元の人は昔ながらの人海戦術を用い、1万人で追い詰める」という説明で最高に笑ってしまった。1万人はねーわ、1万人は。

 

 ちょっと演出的に「うわぁ」と思ったのは、伝統的な民族衣装を着ている人たちが急に洋装になったというシーン。特に民族衣装のままノリノリでジャズを演奏している人たちを「滑稽でしょう」というように見せているのはかなり引いた。ジャズってもともとアフリカ系の音楽と西洋の楽器が組み合わさってできたような気がするし……結局「白人優位視点」というのがなんだかなぁ。そのくせ終盤で暴徒に襲われそうになったヤコペッティ一味が「俺たちは白人じゃない、イタリア人だ!」というのが非常に滑稽だった。ここは笑うところなんだろう。

 

 そんな感じなのですが、終盤に傭兵が人を殺すシーンは本物だそうです。それまで「これでもかっ」とデロデロな映像を流してきているのでそのシーンは淡々としていて、「これが本物だよなぁ」という気がしないでもないです。人は意外とあっけなく死ぬし、それが映像として残酷である保証はない。残酷に見えるものは、大抵が作り物だ。そう思っている。

 

 ただやっぱりこういうのは見ていて悲しい。「白人の搾取が」とか「黒人の間での差別が」など言っているけど、この映画を見て白人が黒人から奪ったのは領土ではなく人間らしさそのものだったのではないかと思った。奴隷になったり文化を奪われたりして、白人の都合で「はい今から人間らしくしていいですよ」って言われてもどうにもならないんじゃないだろうか。冒頭で民主主義がうまくいかないというナレーションが何度もあったけれど、それは今まで白人が押さえつけてきたものではなかったのか。もしアフリカの無駄な搾取がなければ、彼らは彼らなりの文明を発展させてきたのではないだろうか。そんなイフを思い描いても仕方ないけれど、もっと良いやり方があっただろうと思うのは今の世界を見ていて思うことだ。「じゃあお前がやってみろ」って言われても、神様じゃないから難しいなぁ。