傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「悪魔のいけにえ2」

 レザーフェイス恋に落ちる。

 

 

【あらすじ】

  前作から後の時代。結局行方の知れなかった狂気一家を執念で追いかける刑事がいた。その時、レザーフェイスに襲われたと思われる録音がラジオ局にあるという話を聞いた。その凶行の様子を毎晩流し続け、ついにあの一家が証拠を消しにやってくる。

 

【感想】

 よく「前作が完璧すぎて2はなぁ」という評判を聞いていたのですが、2は2で滅茶苦茶面白いです。本当に前作が完璧すぎて芸術クラスに入っているのに対して、2では逆にコメディ路線で貫きました。それはそれだけ見ると本当に面白いです。

 

 デニス・ホッパーの唐突なチェーンソーに対する憎しみだか愛情だかわからないシーンも面白いのですが、お気に入りは「レザーフェイス恋に落ちる」の部分です。それまで女性だろうが何だろうがぎゅいんぎゅいんとやっつけていたレザーフェイスもホットパンツのどっきりなラインにときめいてしまったようです。チェーンソーで太ももをなぞるって謎のエロスが最高でした。 

 

 それからいろいろあってやってきた狂気一家の秘密基地の落とし穴のシーンが最高。デニス・ホッパーが「これに掴まれ!」って差し出した腕の骨なんて絶対ボキって折れるじゃん、落ちるじゃんっていうところを観客に想定させての「やっぱりー!」展開。もう「志村うしろうしろ」的な何かを感じました。

 

 レザーフェイスがDJのストレッチに剥いだばかりの皮をかぶせてダンスを踊るシーンは滑稽なのか怖いのか、それとも悲しいのかよくわかりませんでした。怖いとか面白いとか、そういうのを通り越してこのシーンはひどく悲しいと思いました。何故でしょうよくわかりません。

 

 いろいろツッコミどころはあるんだけど、狂気の団欒にじいちゃんハンマーのくだりは健在。何に突っ込んでいいのかよくわからない狂気の空間が最高。そこに乱入するデニス・ホッパー。この人出てきたと思ったらほとんどのシーンでチェーンソーを振り回しているだけ。そして始まるチェーンソーでの斬り合い。もう意味が分からなすぎて笑うしかない。整合性も何もあったもんじゃない奇々怪々な空間。そういう非日常が最高です。

 

 そしてラスト。ストレッチまでチェーンソー片手にぎゅいんをやったのちに「うおおおおお!」って変な小躍りをしてエンド。もうこの「やった!やった!生き残った!」という爽快感がたまらなく面白かったです。そしてそこでスパッと幕切れというのも最高。変に後日談をだらだらされるのは好きじゃないのです。

 

 テンション高く面白かったところを抜いてみましたが、全体的に面白いので、見る気力のある人は見てほしいです。ただし、グロ耐性とホラー映画の文脈がわかる人限定です。おわり。