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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「心霊写真」

洋画 ホラー
 友達に内緒でヤンデレと付き合った結果wwwww

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【あらすじ】

 カメラマンのタンは恋人のジェーンと一緒に友人の結婚式に行く。帰り道、うっかり2人は女の人を車で轢いてしまう。怖くなって逃げ出してしまうが、翌日から二人の周りで妙なことが起き始める。大学の卒業式で撮った不可解な写真を手掛かりに、2人は怪現象について調べ始める。
 

【感想】

 意外と面白かった!!

 評判になったタイ映画ということで評判倒れにならないか心配だったけど、評判通りとっても面白いのでホラー漁りたい人にオススメです。以下ネタバレもがっつり書いていくので自己責任でどうぞ。

 まず演出なのですが、アジアンテイストでJホラー寄りです。あらすじもちょっとドロドロしていて西洋のホラーとは趣が異なります。というか、貞子や伽椰子に相当する幽霊キャラのネートが割と怖い。幽霊としても怖いし、人間としても怖い。「本当に怖いのは人間」という側面と「幽霊も本気出したら怖い」を組み合わせた感じがしました。

 この映画の中心はもちろん「写真」で、写真に関する演出がいくつか効果的に用いられている。例えば最初のホラーシーンは暗室内だったり、暗闇でフラッシュだけが光っていて一瞬だけ女性の姿が見えるとか、「写真は光と闇の総合芸術」みたいな言葉をうまく使ってるなぁと思いました。

 でも怖いだけじゃなくて、きちんと内容もあるしちょっと笑える部分もある。心霊写真特集を組んだ出版社を訪ねたとき、編集者と思われる人がPC上で思いっきり合成で心霊写真を作っているシーンは「いきなり心霊写真の存在全否定!」と思ったけれど、ちゃんとその後フォローが入ってよかった。そのフォローシーンは編集長が「心霊写真には本物もあって、愛した人や強く恨んでいる人のところに霊は現れる」という重要な伏線になっていたし、個人的に興味深いシーンだった。

 あと男子公衆トイレで紙がなくなって隣の個室に「紙をくれないか」と言うとマニキュアをした女らしい手がタンに紙を差し出すところは一瞬ゾゾっとするんだけど、隣の個室を蹴破ると中にいたのはオカマっていうのはタイらしい演出だなぁと思った。多分笑うところなんだろうな。あと途中の意味深な「カマキリの交尾の説明」が非常に気になった。何の暗喩だったんだろう。

 そんでボスキャラ「ネート」についてなんだけど、この子は幽霊になっていなくても怖い。大学時代、同情心で近づいたタンに入れ込んで面倒くさい女になり、リスカをして包丁を振り回すように。その後タンが彼女と別れたがっていたところ、悪友たちが「任せろ」と言い、彼女はタンの前から姿を消したそうです。大体これだけで何が起こっているかわかりそうなものですが……。

 タンの友人が次々投身自殺を図るなど恐ろしいことが現実になっていく一方、怪現象の正体はネートであると確信したタンとジェーンは田舎にあるネートの家を訪ねる。ネートの母は「娘は具合が悪くて寝ているわ」というけれど、様子がおかしい。それもそのはずで、ネートは自殺を図り自室には彼女のミイラがあるばかりだった。供養していないからネートの魂が現世を彷徨っているんだとやっぱりおかしくなっている母親を説得。ネートの葬式を上げさせる。

 それでもタンは気が晴れない。ここからネートのボスキャラ本領発揮で、ベッドの下から這い寄ってくるし、天井にはさかさまに引っ付いているし、タンは逃げても逃げても4階より下に行けない無限ループになるし、階段の途中でジェーンのふりをして脅かしたり、最終的に非常梯子まで追い詰めます。このネートの動きが伽椰子っぽいんだけど、なんかずーっとさかさまになっているあたりタイでは何か意味があるんだろうか。

 タンはなんとかネートを振り切り、ネートの遺体は無事荼毘に付され、一件落着かと思ったらまたしても不穏な写真が出てくる。それは旅行の写真に何枚も紛れていて、タンの部屋にいるジェーンとタンが写っていた。「誰がこの写真を撮った?」という疑問もあるけれど、ジェーンがその写真に写っている謎の影の動きをよく追ってみると、本棚のある部分を指していることがわかった。ここの写真がパラパラ漫画になって霊の動きを追っているという演出は面白い。実際に気付いたらめっちゃ怖いだろう。

 ジェーンが本棚に隠してあるネガを現像すると、ネートがタンの友人たちに犯されている写真が浮き出てきた。「ネートはどうなったの?」「知らないよ!」なんて言っていたけれど、大体こうなっているのはお察しの通り。激怒したジェーンはタンに別れを告げる。この展開の最中自分は「そうだそうだこんな最低男別れちまえ!」とかテレビの前で喚いていたのはここだけの話だ。ヤンデレDQNを駆逐するのです。

 ジェーンを失ったタン。「俺のことを愛していたんだろうネート!」と誰もいない室内をポラロイドカメラで撮りまくるけど、何も写らない。それもそのはずで、ネートはずっとタンのすぐそばにいたのです。この辺の伏線回収が非常に美しいのでほれぼれとしました。ホラー慣れしている人は序盤から気が付いていると思うけれど、安定感のあるオチで安心できました。そしてラストですが、『サイコ』のラストを彷彿させるような映像だなぁと思いました。顛末を知っていると非常に不気味なそのシーンの後味が非常に悪くて、個人的に大満足でした。

 つまり、「ヤンデレと付き合うとろくなことがない」ということに終始していたと思います。しかしネートたん、貞子とか伽椰子と戦わせてもきっと強いと思うので「ひきこさんVS口裂け女」みたいな感じで「貞子VS伽椰子VSネート」みたいなの見てみたいです。

 テレビ画面から出てくる貞子!
 隙間から死角を封じる伽椰子!
 写真の中から時空を歪ませるネート!

 問題はみんな似たような外見だから誰が誰かわかりにくいところだなぁ。