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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「イージーライダー」

 ぼくらのー自由をーぼくらのー青春をーおおげさに言うのーならばーきっとそういうーことなんだろー

 【あらすじ】

 薬物の密輸で大金を手に入れたビリーとワイアットはハーレーに乗ってカリフォルニアからカーニバルの行われるニューオーリンズまで向かう。途中で出会う人々は時に優しく、時に非情で、時に残酷だった。


 【感想】

 奥田民生のイメージで見たけど、イメージはイメージでしかないくらい後味ぽっきりな映画でした。あらすじというあらすじは特にない映画。ただ男二人がバイクに乗ってぶらっと旅をするということしか言えない。その途中でヒッピーの集落に寄ったり、留置所にぶち込まれたり、目当てのカーニバルで女の子を買ってラリって、そんで死ぬという話。


「そんで死ぬ」

 本当にそうとしか言いようがない。基本的に時代背景がわかっていないとどうしようもない映画で、ベトナム戦争ウッドストックでヒッピーがウェーイwwwってやってるアメリカの黒歴史をめいっぱい詰め込んでいる感じ。冒頭の「ワイルドで行こう!」はかっこいい。「自由とはこういうことさ」と画面で主張してきている。台詞は一切なくて、ただBGMとバイクで走っている風景だけなのに、こちらまでどこまでもいける気がする。

 あと、カーニバルでラリった映像効果は実験的で面白い。映像も時間もぐちゃぐちゃになって、何をしているかわかるのに、わからないような気にさせる。この時は肉体から精神を自由にしているってことなんだろうか。

 それでも主題はきちんと明示されていて、ジャック・ニコルソンが言う「自由のために殺人だって行う国だ」というメッセージが全般的に比喩のようにちりばめられている。自由に生きているようで自然に束縛されているヒッピー・コミューン。余所者を殺すことに抵抗のないある意味自由な田舎の因習。そんな中、それでも自由に走り出そうという二人に襲いかかる「自由」な弾圧。この辺のあまりにもサラっとしすぎた描写が意外と怖い。「自由になるには、あまりにも自由過ぎた」ということだろうか。今の時代に見ると古臭いけれども、何も考えずに景色だけ見ていても面白い。

 個人的には喫茶店のアメリカンなネーちゃんたちが好きです。あのどう見ても頭悪そうな感じが「何が自由じゃボケ」と思うくらいテンプレートっぽい。実際ヒッピーも田舎者も「テンプレート」を前面に押し出している。「自由」にも「テンプレ」が用意されている、面白い国アメリカ。それと、なんとなくバイクが自由の象徴っていうのも、面白いなぁ。これは今にも通じる普遍的な記号だなぁ。