傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「悪魔の棲む家(2005)」

 大島てるも真っ青。

 

 

【あらすじ】

 再婚を機に破格の値段で売られていた家へ引っ越してきた一家。次第におかしな現象が起こり、家族の絆もバラバラになっていく。

 

【感想】

 有名な作品ですが、見たのはリメイクです。元の作品との違いは神父の登場シーンらしいです。おそらく元の作品では神父のシーンが多すぎると判断したせいか、リメイクでは大幅に神父の登場シーンがカットされているという事態になり、リメイクしか見ていない人は「神父何をしに出てきたの!?」となるくらい脇役になっていました。

 

 それで、怪奇現象の起こる家にわざわざ引っ越してきてどーのこーの、という話なのですが映像は基本的に怖いです。まるでホラー映画のオールドファッションのように安心して見ていられるクオリティです。少女にだけ見えないお友達が見えたり、父親が次第に狂気に染まって行ったり、犬が何もないところで吠えていたり、非常に微笑ましいホラーです。

 

 で、一番の見せどころは『シャイニング』よろしく次第に家によって狂気に染められていくお父さん。斧なんて持たせたら危ないよ! しかし『シャイニング』では完全にアッチサイドに堕ちていたパパもこの映画ではたまに正気に戻って「お前らを殺す前に俺を殺せ」などと少年漫画みたいなことになっていたので非常に温かい気持ちで見ていることが出来ました。「家から離れれば呪いは解ける」という謎設定も、ラストの映像を撮りたいためだったのかなぁ……。個人的にさっさと車で離れればよかったのにとしか思えないのです。

 

 これは「あったかい気持ち」で見ることのできるホラーだと思いました。全体的に怖いといえば怖いのですが、本格的な恐怖はあまりありません。ベタな展開がどこまで行っても続く、ある意味良心的な映画です。そういう意味ではホラー初心者の方にはオススメでしょう。

 

 実際こういう「事故物件」は買おうと思った瞬間から家に見出されているなんていう話もあるのですが、事故物件とわかっても手放すことをあまり考えなかったあたり「家」の執念なんだろうなぁと思うのです。破格の物件の購入の際は、よく考えたほうがいいですね。