傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「アヒルと鴨のコインロッカー」

 瑛太マジ瑛太

※この映画は結末を知らない方が楽しめる映画なので鑑賞予定のある方はお帰りください。

 

 

【あらすじ】

大学に入るのに越してきた椎名はボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさむ。すると隣の部屋から現れたカワサキと名乗る男は、隣の隣の部屋に住む日本語が読めないブータン人ドルジのために椎名に本屋で辞書を強盗するよう持ちかける。

 

【感想】

 なんとなく話題の邦画だよなあと思いながら鑑賞。よく結末がすごいみたいなところで出てくるので期待しないで見たけど、最初は本当に辛かった。小学生が学芸会で発表するような発声に時系列がバラバラで登場人物の一貫性がない。これで90分以上見るのは辛いなぁと思っているうちに話はどんどん進行していく。

 

 そもそも濱田岳がそんなに好きじゃないのでうーむうーーむと濱田岳が翻弄されまくるところをぼんやりと眺めていた。瑛太が怪しい人物炸裂しててとにかくちぐはぐ。「何だろ前衛的な雰囲気を出したいのかな」と我慢して見ていくと、ひとつひとつ怪しいベールが剥がれていく。そして疑惑のシーンで疑問は氷解する。そして思う「瑛太頑張ったなぁ」と。

 

 この謎の男カワサキは椎名にカワサキを名乗っていただけで、実は話に出てくるブータン人のドルジだったのです。そのための伏線は違和感たっぷりの前半にちりばめられていて、後半は答え合わせのようにするすると進んでいきます。ああそうかああそうか、ああそうだったのか。そんな感じで映画は終わります。

 

 しかしスカッとする映画なのかといえばそうでもなく、ドルジが果たした復讐は後味の悪いものだし、音楽の神様を閉じ込めるというのもなんだかうやむやにしている感じがして無理矢理終わらせようとしているなという感じもする。小説だとあまり気にならないのかもしれない。

 

 とにかく瑛太がすごい。前半の怪しいカワサキから後半の悲哀漂うドルジになる瞬間がすごい。この難しい役をよくやったなあという印象。瑛太すごいよ瑛太、というのが一番の感想です。忘れた頃にもう一度見たい映画だなと思いました。おしまい。