感想「ピンク・フラミンゴ」
すっごく見なくていいもの見た気がする。
【あらすじ】
世界一下品な人間と称されるディヴァインはバブスという偽名を使い、一家でトレーラーハウスに住んでいた。その「世界一下品な人間」の称号をかけてマーブル夫妻がディヴァインに挑戦状をたたきつける。
【感想】
今日はバレンタインデーだって? そんなの関係ねえ。下劣さで頭ひとつ抜いた知名度のあるこの作品を鑑賞してやったぜ! 正直頑張ったぜ!
この映画を鑑賞した後、何とも言えない感情が襲ってきて、あぁこの感情何だろうと思ったら、最近流行の「虚無動画」とか「エルサゲート」とか、ああいう動画と似ているなぁというところです。つまり虚無なわけです。この映画を観ても何も残らない。
端的に言って、登場人物がお下品なことをお下劣ぱっぱーとぐちゃぐちゃにやりまくるんだけど、その行動が支離滅裂で何の意味があるのかさっぱり読み取れないんだよね。お下品だということが物語の読み取りを阻害しているのか、それとも最初から物語がないものをお下品という事象で無理矢理見せているのか。多分後者のような気がする。
例えばパーティー(お察し)を開いていると麻薬パーティーをしているとタレこまれ、サツがやってくる。そしてサツに襲い掛かるパーティーの参加者。次のシーンではなんかバーベキューが始まっている。
いやいやいや……。
画面がお下品ということでそっちにばかり目が行ってしまうのですが、単に脈絡がないんですよ。どうやら映画のコンセプトはアメリカの我も我もとなってしまう小市民感覚を皮肉っているようなのですが、もうそんなのはどこへ行ってしまったのかと言うくらい画面が強烈過ぎてメッセージがどこかへ飛んで行ってしまった感じ。つまりは虚無。
ディヴァインたちは鶏と獣姦とか手すりを舐めて復讐とか息子とナニして復讐とかパーティーで穴ぴくぴく隠し芸とかこちらがポカーンとするようなことをしてますが、敵対するマーブル夫妻は何だかんだでうんこ送りつけるとかトレーラーハウス燃やすとか嫌がらせの内容が割とまともなんですよ。そりゃこの映画的にディヴァインには敵わないよ。
クライマックスのマーブル夫妻お仕置きシーンはそのシュールさで脳みそ空っぽに出来るのですが、いちいち取材に来ている記者の雑誌の名前が面白かった。「週刊カゲグチ」って何だよ。どんな週刊誌だよ。センテンススプリングかよ。あれはカゲグチではないか。
そして噂のラストのシーンですが、なんか頭が虚無っていたのですっごく「ああそうですか」ってスルーしてしまった。あの時代から下って結構そういうシーンのある映画一杯あるからなぁ……まぁ衝撃っちゃ衝撃ですね。もう脳みそが「虚無」一色だったのですごく真顔で観てたと思います。真顔です。
とにかく、人に薦める映画じゃない。お下劣な何やらは正直画面として強烈なだけでそこから何かを感じようとしても向こう側は存在しないし、むしろ観客が「見世物小屋」を覗いてしまったみたいな後ろめたさを感じてしまうような、そんな映画だった。「エルサゲート」と称したのは、一貫して映画のテンションが楽しそうだからです。ピンフラみたいな動画が最近子供向けになってあちこち出回っているなんて、よもまつですね。なにものこりません。おわります。