傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「楽園追放-Expelled from Paradi-」

 いっつそーふぁーらうぇい。

 

 

【あらすじ】

  人類のほとんどが電脳空間「ディーヴァ」で暮らしている世界。「フロンティアセッター」を名乗る謎のハッキングを辿るため、捜査官のアンジェラは現実世界へ降り立ち、地上調査員のディンゴと共に捜査を始める。

 

 【感想】

 正直あんまり期待しないで観たのですが、期待値が低かったために非常に面白く観ることが出来ました。 単純にフロンティアセッターの設定がツボだったのですが場面的にもクライマックスの戦闘シーンの盛り上がりがよかったです。

 

 フロンティアセッターの何が良かったかと言うと、人型をしてなかったところですね。人工知能萌えがあるのは承知しているのですが、人間に近づこうとする時に人型をしているよりいかにもロボットロボットしているほうが何か好みなんです。つまりタチコマが最高と言うわけです。

 

 フロンティアセッターとディーヴァに住む人間は何が違うのか、ということや「人間らしい」とは結局何なのか、ということをぼんやり考えるようなお話でしたね。何となく「老年期の終わり」みたいなテーマも盛り込まれていて、フロンティアセッターを忌避したディーヴァの上層部が本当に恐れていたものは一体何なのかを考えると「機械の考える最善」というものがうっすら見えてきて「これからの私たち」に必要なものは何だろうって思う。

 

 人間と言うものは本当に無駄なものを無駄に溜め込む癖があって、それはモノに限らなくて必要ない感情やどうしようもない想いっていうのも含まれるんだろうなと思いました。それらを排除していくと非常にきれいな合理的大都市が出来るけど、それを拒否して暮らすものも彼らは排除したがる。機械の考える合理的と、人間の考える「より良い生活」とはどこで妥協点を見つけるのだろう。

 

 できたらもっと「ディーヴァ」の理不尽さみたいなのを見たかったなぁとは思いました。「実体がないから成果をあげることしかアイデンティティが存在しない」という状態が何か歪を起こしていないかとか、そういうことには興味あります。そこをメインにお話を書いたら本気で地獄になりそうだけど。

 

 果たして何が「楽園」なのかわからないけれど、「ぱらいそ」は現状に満足している人の観ている世界なんだろうと思います。みんなでぱらいそさいくだ。