感想「少女椿舞台版」
どうせ人生見世物よ!
※風紀上好ましくないことが書いてあるかもしれませんあしからず。
【あらすじ】
お父さんは失踪、お母さんは病気で死んでしまったみどりちゃんは見世物小屋で暮らすことに。家に帰ることもできず見世物小屋の連中にいじめられる毎日。そこに小人の奇術師ワンダー正光がやってきて、みどりちゃんと見世物小屋の運命が変わる。さらに並行世界のみどりも現れ、舞台は時と場所を越えて展開する。
【感想】
前からずーっと気になっていたのですが、やっと見る機会が出来たのでDVDで観劇しました。序盤の鞭棄と赤座の茶番とか、カナブンちゃんの漫画よりはっちゃけた性格とか、みどりちゃん折檻シーンが意外と長いとか、ワンダーの扱いとか、面白すぎです。でも結構真っ赤な液体ブシャーの場面も多いので、耐性のない人は注意しないと危険。というか、丸尾作品という時点でダメだ。
原作通りだと「あれ、こんなもんだっけ?」と思うところで他の世界などオリジナルイメージをぶち込んできて、退場しちゃった鞭棄の出番があったり大立ち回りの殺陣があったり、「一見何を言っているんだろう?」とどんどん風呂敷を広げていって今後の展開をどうまとめるかワクワクさせるあたり、まるで見世物小屋です。というか見世物小屋の話でした。
個人的に漫画のカナブンちゃんのラストがすっごく大好きだったのでそれがなかったのがちょっと残念でしたが、それ以外の点では最終的にきれいに落ち着いた話も好感度高くて良いと思いました。原作で終わるところで終わらずに続いていく舞台を見ていてちょっとドキドキしたのですが、みどりちゃんが何人も出てきて、「え、これどうなるの?」と思ったらそういう結末か……と。序盤はあんなにドロドロしていたのに無駄に爽快感溢れる幕切れになっています。最初で顔をしかめてしまってはもったいない作品です。
あと、原作を一回読んだだけではわからない鞭棄さんの魅力に気が付いてしまいました。最初はワンダーがみどりちゃんを助けてくれるエンドを期待していたので「ざまあ!」だったのですが彼視点で考えるとものすごく切ない話です。そしてミイラ手ナシ男って特定の人にはツボる設定だったことに今更気が付きました。どうしてもふたなりカナブンちゃんに目が行っちゃうじゃないですか。どうして彼に気が付かなかったんだろう。バカバカ!
原作は最初から最後まで「みどりちゃん不幸かわいい」でおしまいなのですが、舞台版はそれにアレンジを加えて、最終的に冒頭の台詞にもっていくわけです。どうせ人生見世物よ、あんたも見世物、私も見世物。同じ見世物同士なら、お互い指さしあって笑ったっていいじゃないですか。うーん、デカダンス。
ちなみにアニメ映画もあります。こっちはほぼ原作通りでやることばっちりやっちゃっているので発禁処分だそうです。youtubeあたり探せば見つかると思うので興味を持たれた方はお探しください。ここには貼らないぜ。
最後に虚飾集団廻天百眼さん、楽しいお芝居ありがとうございました。