感想「テルマエ・ロマエ」
正直配役だけで面白すぎたんですが。
【あらすじ】
古代ローマ、ハドリアヌス帝の治世の時代。浴場設計技師ルシウスは最近流行りの浴場のスタイルに不満があった。ある日浴場の隅にみつけた穴に潜ると、21世紀の日本の銭湯につながっていた。ルシウスは壁の富士山や水道の蛇口、フルーツ牛乳などを見てショックを受けるが、日本人を属州の奴隷「平たい顔族」と信じて疑わない。いつの間にかローマにもどったルシウスは日本の風呂文化をローマの浴場に取り入れていく。
【感想】
原作漫画もファンですが、この映画はこの映画でアリだと思います。不安要素だった映画化に合わせた追加設定もなかなか話をまとめるという意味でそこそこよかったんじゃないですかね。一話完結だった原作をうまくつないだのも評価ポイント高いです。心配要素の上戸彩も一晩でラテン語マスターするとかありえない設定ですが、どうしても必要なヒロインとして無理矢理ねじ込んだ感じが逆にマッチしている気がします。そもそもこの話自体がタイムスリップとかありえないのでこのくらいのトンデモ設定は逆にしっくりしていると思うのです。
とにかく日本人を「平たい顔族」と言う阿部寛を見ているだけで笑えます。原作を知らなくても笑えます。原作を知っているともっと笑えます。市村正親が真面目にローマ皇帝やっていてもあまり不審に見えないところも笑えます。真面目くさっているからこそもっと笑える設計になっています。キャスティングが卑怯なんですよ。
漫画にはない笑いどころも結構あって、そこもポイント高いです。トイレのふたを開ける奴隷の絵とか、何故か一人だけ檻に入れられている竹内力とか。中でもタイムスリップの時現れる謎のオペラ歌手はレベル高いです。何度も出るから天丼効果で笑いのツボが高くなっていきます。
よく「この設定はあり得ない」とか「つじつまが合わない」とかありますけど、映画は全体で判断するべきです。全体が崩れていれば仕方のないことですが、破天荒な話につじつまを求めるほうがどうかしています。最初から最後までハチャメチャやるくらいがコメディ映画としてあるべき姿です。終盤はとにかく話を終わらせようと努力している姿が見れました。まとめ方としてはきれいな終わり方だったんではないでしょうか。単純に「人間がいいと思うものに国境も時代も関係ない」というスタンスがわかりやすく示されていてよかったです。
まとめると、「歴史コメディとしては秀逸」というところです。思い切り笑ってそこそこいいメッセージを受け取って、「あー面白かった!」ができる良い映画です。これはたまに見たくなる映画ですね。「Ⅱ」も楽しみです。