傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」

 ティムfeat.ジョニデというだけです。

 

スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師 [Blu-ray]

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【あらすじ】

 かつて悪徳判事によって妻が襲われ娘をさらわれた理髪師のベンジャミン・パーカーは復讐のためにスウィーニー・トッドとなってロンドンに帰ってきた。彼は自宅の下に位置するパイ屋のラヴェット夫人と組む。スウィーニーが髭を剃るふりをして客の頸動脈を切り、喉を切られた客は地下室へつながる落とし穴の底でパイになってしまう。腕のいい理髪師と評判のパイ屋を装って彼は復讐の機会を待つ。
 

 【感想】

 喉汁ぶしゃー!

 最初から最後まで「喉汁ぶしゃー!」です。血がちょっと茶色くて「ザ・スプラッタホラー!」にならないのは自主規制なのか良心の呵責なのかたんなるスプラッタにしたくなかっただけなのか。実はミュージカルだって気が付いたのは鑑賞終わって特典映像見てからでした。「やけに歌が多いなーみんな陰気に陽気だなー」とかのほほん見てたのですが、あんだけ歌ってりゃ気づくだろうに。このニブチン。

 チャリチョコで「ティム☆ジョニデ☆」とうっとりな甘いもの大好き女子をげんなりさせるために作ったとしか思えないくらい上級者な内容で、個人的統計でメルヘンチックな作品が好きな人はこんな感じのダークな話も大好きな傾向にあると思うのです。むしろメルヘンの真価がダーク部分にあると疑ってかからないタイプが多いです。全国のメルヘンファンでこの映画がダメなら足を洗ったほうがいいかもしれません。

 ジョニデは相変わらずの渋ジョニデなんだけど、ヘレナ・ボナム=カーターのほうがこの映画目立っていたと思う。目立っていたというか、今回激ハマリの役だったのかも。彼女のラストも童話的で大好きです。というか登場シーンから全編通して大好きです。姐さん一生ついていきます。あとトビ—がかわいいです。うちでもらいたいです。

 お話の都合のいい部分は置いておいて、物乞い女が妻だったというオチは彼女が出てきた瞬間に気が付いたんですけど、お互い見てわからないものですよね。やたらと悪徳判事の内部事情に詳しいのも街の噂ではなく、彼女自身の物語だからだったんですね。いやあかわいそうだ(下種顔)。

 もともとが実在したと言われる殺人鬼の話のミュージカルで、本当にこの映画は絵本みたいな感じで見れました。登場人物のこまやかな気持ちの変化とかそういうのよりとにかく喉汁ぶしゃー、ギミックがーん、ミンチでぐっちょん、あとは焼いて出来上がり☆みたいな映画全体がお菓子作りのような印象でした。最後はお皿をがしゃんとひっくり返しておしまい、というところか。

 ティム好きが「あーこれティムだわ」と言いながら見る作品だと思うので、お話の中身より映像や音楽をガンガンと楽しむのがよいと思いました、まる。