傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ドリームガールズ」

 夢があるのはいいことだ。

 

ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

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【あらすじ】

 1960年代のアメリカデトロイト。ライブ出演をかけてディーナ、ローレル、エフィの「ドリーメッツ」はパフォーマンスをしていた。ちょうどジミー・「サンダー」・アーリーのバックコーラスがいなくなったことで彼女たちにお呼びがかかり、各地で人気になる。ところがエディの兄C・Cが作曲して歌った曲が白人たちに盗用され、プロデューサーのカーティスは「白人に負けない黒人の音楽を売る」という目標に駆られる。「ドリーメッツ」は「ザ・ドリームズ」として一躍トップスターの座に躍り出るが、それぞれの擦れ違いがいろんなところで起こり始める。
 

【感想】

 ストーリーはよくある話といえばよくある話。言わずと知れたモータウンとザ・シュープリームス(今はスプリームスというらしい)の話が元ネタ。メンバーのメアリー・ウィルソンが書いた自伝が舞台化され、それが映画になったのがこれらしい。
 
 とにかくミュージカルなので唐突に映画の中で歌われても気にならない人しか見れません。とにかくブラックミュージック押しなのでソウルとかR&Bとか好きじゃないと見れません。さらに根底に当時のアメリカの社会問題をはらんでいるのでよくわかっていないと誤解をしてしまうかもしれません。しかもモータウンってなんじゃい? という人は既に置いてけぼりです。

 主演がビヨンセということもあり、歌や踊りは全て一級品です。ソウルフルなステージが次から次へやってきて楽しいです。個人的にはエディ・マーフィーが「白人に付き合ってられるか!」と勝手にソウル始めちゃうシーンが好きです。とにかく「白人>黒人」であり、「黒人のいい文化は白人がパクっても問題ない」という時代とお国柄でした。そういう背景も拝めて、風俗的にも面白い。

 何よりエフィ役のジェニファー・ハドソンの歌唱力が意外。アカデミー助演女優賞の実力は本物でした。ビヨンセを圧倒する歌唱力だけど、ちょっと押しが強すぎてプロデュースに困っちゃうという役柄。シングルマザーになるも歌を歌うことをあきらめない彼女の素晴しさに感動した瞬間に観客のテンションを落とす脚本もなかなか悪趣味でよい。
 
 とりあえず流れとしては「黒人が白人に勝ってやるぜ!うおー!」→「やばーいまじ売れっ子スターになったって感じ?」→「ちょっと男子ちゃんと歌ってくださいーうるせーよ女子ー」→「私たち成功したけどさぁ……何か大切なものを忘れてきたような……」→「もう何も恐くない」→「あたしって、ほんとバカ」→「ドリームガールズは、ズッ友だよ……///」という感じです。これだけで何となく話の流れがわかるね! よくある話だよね! でも歌と踊りが最高だよ。

 ストーリーの教訓は「男女関係は早めに清算しておきましょう」ということでしょうか。結局誰と誰がくっついた離れたをするからこういうことになるのです。エフィもカーティスが手を付けていなければあるいは……。下世話な成り上がりとしても面白いし、やっぱり音楽が最高なのでR&B好きは見るべし見るべし。