感想「その時までサヨナラ」
ちょっと不本意ながらどうしても読まなければならないため、頑張って読んだのですがどうにもならなかったのです。
【あらすじ】
出版社に勤務している仕事一筋の男の森悟は、地震による脱線事故で妻の亜紀を失う。それまで家庭を顧みることは皆無で、息子の裕太を亜紀の両親に預けるつもりでいた。しかし、亜紀の親友を名乗る宮前春子が現れ、父子二人で暮らしていけるよう面倒をみることになる。
【感想(という名の愚痴)】
自発的に「読みたい!」ということではなく、どうしても作者の著書を読まねばならぬ状況に陥り、ホラーは得意であるが日本語がものすごいと評判の作者なので「じゃあホラー色が薄いものを……」というチョイスでした。こんなブログ書いてるくらいなので、下手にホラーを選んでしまっては取り乱すこともあるかもしれない、というのが理由です。
で、ページを開いたのですが……
もう1ページ目からしんどいわ。これもうすごいわ。
それでも仕事と割り切って頑張って読んだよ。
途中で「これだ!」て思ったら正の字で数えることにしたよ。(どこの囚人だ)
まず、主人公の悟君ですが……彼は一体今までどうやって生きてきたのかわからないくらい生活感のない男です。銀座のホステスをあしらう社交性や不倫する甲斐性を見せつけたかと思うと、家事が出来ないという設定のせいで炊飯器でご飯を炊くこともできない謎スペック。望んではいないとはいえ自分の息子が生まれても何の感慨も抱かず、妻が死んで初めて「自分の遺伝子を受け継いだ人間が隣にいる」などあまりにも遅すぎる父性を発揮するぶっ壊れた感性を持っている男のどこに亜紀は惚れたのだろうか。どう見ても地雷物件です。
日本語がおかしいのは1ページ目からわかっていたのですが、途中でいろいろずっこける部分が多すぎて話になりません。福島で地震が起こったという話なのですが、明らかに福島県の取材をしていない……県立総合福島病院ってどこだよ。つか、福島市で道路が陥没したりがけ崩れしたりするレベルの地震で死者がいたらのんきに病院に運ばれる気がしないんだけど……まるで災害の雰囲気が感じられない福島県。地震発生から数週間しか経っていないと思われるのに交通課の窓口がのんきに開いている警察署とか謎満載です。予言以前に災害のシーンが適当過ぎて既に号泣ものです。福島の地名は適当なのに、東京の地名ははっきり書いてしまうあたり作者の謎感性が感じられます。
おかしな点は挙げればキリがないのですが、やっぱり一番は「家事仕込みシーン」ですかね。
おいしいお味噌汁の作り方!
1 お湯を沸かす
2 お味噌を適量溶かす
3 インスタントだしを入れる
4 わかめを入れる
5 できあがり
……? 今まで自分が作っていたお味噌汁は間違っていたのだろうか?
そして疑惑のラストシーン。どう見ても「秘○」です本当に(ry 「○密」は未読だし映画も見てないけど、プロットまんまやん……。しかも「宮前春子」が出た瞬間に予想できる結末。これには本当に困った。困った。困った……。
総合すると「全体的に紙みたいに薄い人物設定」「架空にしてもお粗末な被災地描写」「もう少し頑張れるだろう日本語」「あまりにも低い家事能力」「途中でわかっちゃうラスト」「そしてどこかで見たことあるラスト」という感じでした。
ちなみに、頑張って読み終わったあと正の字を数えたら、83個でした。
評判は評判どおりなのですね。勉強になりました。