傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ナイチンゲーロ」

何故か年末にホラー三昧がしたくなり、適当にレンタル店の棚から「どう見てもB級→定番古典→血みどろスプラッタ」の3コンボを決めて参りました。そのB級枠がこちら。

 

ナイチンゲーロ [DVD]

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 【あらすじ】

 看護学生の仲良し5人組が、学生生活最後の思い出に海辺の宿泊施設に泊まり込んで、海水浴にバーベキューと残り少ない夏を惜しむ。「昔試薬試験で被験者が亡くなった」と噂の宿泊施設は不気味で、仲良しとはいえ個々の事情でそれぞれぎこちない関係だった5人だったが、一人が怪我をしたことから不穏な空気が流れ込み、やがて怪異が5人を襲う。

 

 【感想】

 もうジャケットだけで「おっぱいぼろんぼろん映画」は確定していましたので適当に見ていました。前半は汗のまとわりついた女の子の素肌、水着の女の子のキャッキャウフフ、浜辺でイエーイな女の子の笑顔、とにかくぼろんぼろんでした。ホラー映画は意外と前半が大事で、「この後この子たちが恐怖の色に染まっていくんだろうなー」と眺めるのが至福なので前半のこのグダグダを含めて素敵です。ひとつ残念だったのは、年の押し迫った寒い時期に見ていたのでこの映画の夏のさわやかさがいまひとつ実感できなかったことですね。


 そして物語は女五人のドロドロした関係に突入。正直、霊よりこっちのほうが怖いです。最初はとりあえず仲良くしていたのに、一皮むけば憎しみの連鎖しか発生しないおそろしい五人組でした。やれ元カレは寝取られるわ、それ看護師にならないわそれは裏切りだわ、そんな中身でよくあれだけ「キャッキャウフフ」をやっていたなー、というのが実はこの映画のキモではないのでしょうか。でも、現実にはよくあることですのでやっぱり現実の人間が一番怖い。

 それで怪奇現象ゾーン。正直あんまり怖くない。でも人間関係の破綻を見守るならこのくらいのぬるい演出が最適。あんまり恐怖演出をヒートアップさせてしまうとなんだかわからなくなるし、女の子がキャアキャア言うのがメインなので幽霊さんちょっと引っ込んでいてくださいと言う感じ。個人的に幽霊役の女の子が一生懸命死ぬ間際の演技していたのが印象に残りました。ああいうときって、横も向けなくなっているのかな? だとしたらそれはかなり怖い。

 最後にとっておきのオチ。「そこまで戻るかー!」という伏線。「というか夢オチかよ!」という超グダグダっぷり。逆にこのグダリっぷりが生ぬるくてちょうどいい。最後も少しびっくりオチできれいに締めてくれました。これが「めっちゃ怖い本格的ホラー」という認識で見ていたら「金返せ」レベルなんでしょうが、どう見てもなんちゃってホラーなので(むしろ「おんなだらけのこわいはなし」という企画だし)そのグダリっぷりを鑑賞するのが最大の目的。つまらないは褒め言葉。そんな様式美があってもいいと思うのです。