傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「サイコ」

 名作過ぎてヒッチコック作品見たことなかった。今は反省している。巨匠と言われるだけあって、大変面白かった。

 

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 「これって例のシャワーのシーンが有名なアレだよな」くらいの認識でしたがちゃんと最初から見て、そのくらいの認識しかなかったのが恥ずかしくなるくらい全体的に作りこんであって、しかも目をそらせないくらい面白かった。前半のマリアンのドキドキな心理と警官の絶妙な距離感は映画だから出せる表現方法としか言いようがない。これを小説や漫画でやるのはやっぱり難しい。映像を表現として使うのは、やっぱり高度なテクニックが必要なんだな。



 そしてマリアンがノーマンと食事するあたりから「これヤバい奴だ」臭が漂い始めて例のジャケットにもなっているシャワーシーンにつながっていく。冒頭のお金がどうのこうのとか一瞬で吹っ飛ぶ衝撃的なシーン。バッグとかお金に目をくれないあたりで「やっぱりコイツヤバい奴だ」決定。


 個人的に「世にも奇妙な物語」や「星新一ショートショート」等で培った「作品に直接登場しない人物は既に死亡していることを疑ったほうがいい」という直感が働いて「これはやっぱり●●は△△で××なんだ」という見立てを今までしていました。


例えるならこんな感じ(画像と映画は一切関係がありません)

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 ところが後半、予想を一気に裏返させられる描写が登場して「え、違うの!違うの!?」と混乱させられました。(激しくネタバレになるので非常にぼかした表現です)この辺も映像だから出来る表現だな、と最後で納得しました。「やっぱり犯人は△△で、☆☆は△△を××してるんだ」と一瞬思いました。その後の流れも、そう思わせるようにできていました。


 最後の犯人との直接対決は、息をするのも忘れるような作りになっていて一緒に「ひえっ」とか言いそうになりました。この辺が後で「羊たちの沈黙」に繋がるのだなと思うと感慨深いで、すべてのオチが分かったところでやっぱり「羊たちの沈黙」と同じルーツだったんだ、ということがわかり納得。あっちも面白かったけど、こっちの元祖には敵わないかもしれない。そのくらい最後の緊迫感とラストの訳の分からないあっけなさが不気味だった。


 特にラストのシーンは、当時映画館で見ていたら誰もが背筋を凍らせたに違いない。ハッピーエンドというわけでもなく、痛快なバッドエンドというわけでもない。たしかに一つの結末ではあるけれども、他にも出口がありそうな結末。というわけで映画を見て「映画観たどー!」と宣言できるような、あっさりした中のコッテコテなボリュームがほどよくてまた見たくなるような、そんな名作映画でした。


 こんなふうにもう一回最初から見たい、って思える作品が結局好きなんですよね。最初にも書きましたが大変面白かったです。ブログのサブタイトルがアレなのでこれだけ勧めているからと
実際観たら内容がないようなので嫌悪感を示される方もいるでしょうが、映画ファンなら絶対見ておかないといけない作品だと思いました。


 うーん、まったくレビューになっていない。うまくレビュー書けるようになりたいな。