傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「惑星ソラリス」

おやすみレムレム。  

 

惑星ソラリス HDマスター [DVD]

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【あらすじ】

 惑星ソラリス上にある宇宙ステーション、プロメテウスからの連絡が途絶えた。心理学者のクリスがプロメテウスを訪ねると、そこには乗組員以外の気配があり、かつての親友が自殺していた。そして、自殺したはずの元妻がそこにいた。

 

 【感想】

 ね、眠い……。

 

 気合で頑張ってみたけど、序盤が結構つらかった。宇宙に行ってからもあっち行ったりこっち行ったりでふわふわとストーリーまでメトロノームかってくらいあっちこっち行くから、難解なストーリーに釣られて夢見心地で遊覧鑑賞していたような感じ。まさかこれが狙い? 途中で首都高が出てくるシーンはドライブ中に助手席で眠くなるアレを家で体現できました。

 

 眠い眠いばかりで話が進まないのですが、ストーリー自体は重厚で考えることたくさんの面白い映画です。ただ、演出が意図的に心地よい睡眠欲を刺激してくるだけで……。

 

 つまり、惑星ソラリスの海には思考する力があって、人間と何らかのコンタクトをとろうとしていると言うのがひとつの主題。もうひとつは、蘇ったクリスの妻ハリーは何者であるべきなのかという問題。このふたつの主題が行ったり来たり、行きっぱなしになって帰って来なかったり。最終的に「もうそんなもんでしょ」と全てを投げ出すことすらソラリスの海は赦してくれるのよみたいな展開になって、すっごい壮大な感じで終わるのとか卑怯。もっとソラリスと会話をしてほしかった。

 

 この映画全体に漂うのが、他者とのコミュニケーションの皆無さ。もう断絶と言っていいくらい登場人物はホウレンソウもしないし意思表示も明確にしない。それはこの映画の演出にも言えて、まるで観客に優しくない造りになっている。だからこそ人を選んで高尚なメッセージを頑張って解読するしかない。

 

 ソラリスの海からやってきたハリーはそもそもなんでハリーである必要があったのか。ソラリスは人類に何を伝えたかったのか。人類はそれにどう答えればよかったのか。もしハリーが生きる道を選んだとしたら、彼女はどのように現状に折り合いをつけたのか。その辺がおそらくメインなのに、なんかふわふわっとしていたのが何だかなあという印象。多分その辺はレムの原作で堪能して、こっちの映画ではあらすじくらいであとはタルコフスキーの映像をお楽しみくださいというところなんだろう。

 

 多分あと数回くらい一気に見返さないとこの映画の面白さをふんだんに表現することはできない。だけど、もう数回も見る気力がない。この辺を鑑みると「もう一度見たくなる」という面でこの映画は優れていると思った。多分見返すのは早くても数年後だろう。