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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「南極料理人」

 ペンギンもいない世界で食べるもの。

 

南極料理人

南極料理人

 

 

【あらすじ】

 南極のペンギンも住まない標高の高いドームふじ基地で8人の南極観測隊員が越冬する。料理担当の西村は限られた食材から隊員たちを飽きさせないようなメニューを考える。

 

【感想】

 世の中のお話は「日常に異質なものが乱入するタイプ」と「異質な環境の日常を描くタイプ」で大きく分けられるそうだ。藤子作品でいうと前者がドラえもん、後者が21エモンらしい。そしてこの映画は間違いなく後者だと思う。

 

 南極と言う日本に住んでいる我々からするとあり得ない環境に適応したりしかなったりしながらオッサンが共同生活を送ると言うのが大まかな内容だ。一応それぞれのバックボーンがあったりするのだけれど、それは単調になりがちな映画のエッセンスでしかなく、メインはあくまでもうまそうな飯だ。これは南極と飯の映画だ。

 

 基本的に食べる事しか楽しみがないので「伊勢エビでもエビフライ」とか「ラーメンが食べたい」とか、そんなワガママを西村は叶え続ける。基本オッサンたちのドタバタがありながら、その中心にはかならず西村の作った料理の並んだ食卓がある。人間はやっぱり食べないと生きていけなくて、そして誰かと何かを食べると仲良くなれる。そんな基本的なことを淡々と流していく感じ。

 

 そんな中で人間ドラマが点在していて、西村の家族やそれぞれの人生模様が詰まっているのに全面にそれが出てこないのがいいところ。あくまでも「感動!」というのは副菜で、主役は南極の大地とそこで食べる何かだったりする。

 

 そういうわけで落ち着いて何か見たいときにこの映画はいいかもしれない。特にハラハラするわけでもないし、かといって退屈というわけでもない。南極の風景は美しいし、出てくる料理はおいしそうだし、そういうシンプルな映画としては多分優れていると思う。