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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「学校の怪談」

邦画 ホラー ファミリー

 良質ジュブナイル

 

学校の怪談  [東宝DVD名作セレクション]
 

 

【あらすじ】

 夏休み前の終業式の日。転校してきたばかりの篠田亜樹はクラスになじめずにいた。妹の美夏は学校に絵の具を忘れたと言って戻ったが、そのまま帰って来ない。立ち入り禁止の旧校舎に入ったのではないかと探しているうちに、亜樹はクラスメイトの研輔と将太、双子の兄の均、上級生の香織と担任の小向と一緒に旧校舎に閉じ込められる。

 

【感想】

 学校の怪談ブームで生まれた映画で、当時は話題性しか考えていなかったけど、これは大人になってから見る映画だったなぁと思うのです。特に90年代を小学生として過ごした人におススメです。携帯電話が生活に存在しない最後の日常がせつない。

 

 どうしても奇怪なキャラクターにばかり目がいってしまうのですが、この映画の見どころは子供たちのひと夏の成長にあります。転校してきてクラスに馴染めない亜樹、父親が不在で不安定な研輔、初めて好きな人が出来る将太、学校に行けない双子の一を思う均など、子供のころにそれぞれが乗り越える地味だけど大事なハードルを各個人がそれぞれ何とか乗り越える。特に亜樹と研輔がお互いに「大人」になっていくのはなかなか素敵です。担任の小向も大人ながらのハードルを越えていて、そこも必見です。

 

 個人的に子供向けホラーということで軽いビックリ要素やポップなキャラクターが全面に出てしまうのは仕方ないなぁという印象ではありますが、さりげなく美術室で粘土が手に変わって襲ってくるシーンは大人向けのホラーでもなかなか見ない名シーンだと思うのです。他のシーンは大体「怖い話」の定番でしたが、あの「地面から引きずり込む手」というのは大体トイレか鏡か運動場と相場が決まっていたものです。それを美術室でやるから怖い。日本ホラー映画史の中でも強烈に印象に残る名シーンだと思うのです。

 

 ラストのせつない感じも含めて「僕らは大人になっていくのだな」という感じがものすごく良いです。最後に自己紹介をするというのも、そんな感じで好きです。夏休みに炭酸でも飲みながら見たい映画でした。