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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「陽だまりの彼女」

邦画 ドラマ

 まるで陽だまりでした。

 

 

【あらすじ】

 冴えないサラリーマン奥田浩介は、仕事先で中学時代の同級生の渡井真緒と再会する。昔を思い出し交際にいたり、遂に彼女の親の反対を押し切って入籍する。幸せな日々を過ごす二人だったが、真緒の様子が徐々におかしくなっていく。

 

【感想】

 上野樹里が超かわいい。

 

 もう公開されてからずいぶん経っているので最初にぶっちゃけると、異類婚のお話です。猫が好きな男の子に逢いに来るという、お話だけなら古典的な話。ただそれを現代風にしてあったり、江の島の風景と絡めていたりしてなかなか情緒ある画面にしていたなという印象。原作の舞台は江の島じゃないそうですが、この舞台設定だけでも映画としてまとまりがあってよかったなぁと思います。

 

 原作よりも映像で表現できてしまうので「もしかしたら」を匂わせる原作と違って、映画はほどよくファンタジーと割り切った表現が目立ちました。明らかに真緒が猫であることを印象付けるようなカットを何度も入れたり真緒自身から明言はしなくても「正体は猫」というようなことを言わせていたりして、原作ファンはそこが興ざめというところもあるだろうけれどひとつの映画としてはこのくらいの駆け足説明のほうがいいのではないかと思った。おそらくニュアンスだけにした場合、原作未読が「わかりにくかった」という感想であふれかえるのが目に見えている。それにわかりやすいお別れシーンがあったほうがいい。それが映画の宿命だ。

 

 「意外なラスト」なんて評判もあったけれど、特にラストで驚愕ということはなく、この手の話ではよくあるオチだなぁという印象しかないです。個人的な見解として、ラストの彼女は真緒ではなく、もう一度生まれ変わった真緒が代わりに連れてきた真緒自身に一番近い存在なのではないかというところです。

 

 ひねくれた解釈をするならば、猫の真緒が人間になっていた世界と真緒が存在しない世界がパラレルワールドで存在していて、真緒が消滅することでパラレルワールドに迷い込んでいた浩介は元の真緒が存在しなかった世界に戻ってきたということなのではないかと思いました。ただパラレルワールドを渡り歩いた真緒の魂は「真緒として浩介が不自然でなく巡り合える世界」を作るために、ラストの状況を作ったのではないかという話。そうするとあの「真緒が存在しなかった世界」での上野樹里は一体誰なんだと言う疑問が浮上するのだけれど、おそらく彼女も真緒であることには変わらないのではないか。

 

 本来浩介の結婚相手として存在するべき存在だった人間の彼女だったけれど、猫に魂を乗っ取られたのが「真緒」で、それは浩介と幸せに過ごすパラレルワールドを築いた。その代わりパラレルワールドでは彼女の存在が抹消されていた。その齟齬がパラレルワールドを解消することで元に戻り、彼女は人間として浩介の前に姿を現すことが出来た。

 

 そう考えると「真緒」が化け猫以外の何物にも見えない恐ろしい世界だ。深く考えるのはやめよう。これは純愛映画なんだ。