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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「鉄男」

邦画 カルト

 大概のことには驚かないから。

 

鉄男 [DVD]

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【あらすじ】

 平凡なサラリーマンのはずの男の顔に、ある日鉄片が生えてくる。次第に鉄に覆われる男の身体に怯える恋人と、それを不敵に見ている男がいた。

 

【感想】

 67分と短い作品だけれど、かなり密度は濃い。

 

 まず、全体的に画面では何をやっているのか観客に説明がない。「あ、なんか走ってる」とか「セックスしてるんだ」みたいな、そのくらいのふわっとした情景がバンバンやってきて、不安をかきたてるような音楽だけずっと鳴り響いている。

 

 この音楽がめちゃくちゃカッコイイ。インダストリアルというか、イタリアの未来派だ。サントラあった。気になる。

 

鉄男 TETSUO コンプリート・サウンドトラック

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 一応話の内容みたいなのも見ていればぼんやりとわかる気がする。とにかく田口トモロヲ扮する「男」が駅でいきなり知らない金属まみれのおねーちゃんに襲われたり、金属が生えてきて恋人とヤっているといきなり金属まみれの発作が起こったり。

 

 濃密な絡みを見せたかと思うと、股間がドリルになったり「大概のことには驚かないから」と連呼していた恋人も「男」の金属まみれの様相に腰を抜かさんばかりに驚くし、もう何だかわからん。わからんから面白いのだけれど。

 

 最終的に「男」が鉄まみれになっているのはどうやら塚本晋也監督自らが扮するよーわからん「奴」を「男」がひき逃げしたのを根に持って復讐にやってきている、ということらしい。家を飛び出して追いかけっこが始まるのだけれど、特にここからとにかく映像が実験的すぎる。何をしているのかわからない、というか塚本晋也の心象風景みたいな感じが未来派な音楽に合わせて続く。

 

 そして割と投げっぱなしな感じで終わるのですが、音楽と映像の暴力で67分見てしまった、というかそんなパワーのある作品でした。なんだかわからんけど最後まで見てしまう、というのは映画として大事なことだと思うのです。

 

 あと、やっぱり股間ドリルのインパクトがデカい。これがやりたかったのかなぁ。