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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「マーダー・ライド・ショー2」

洋画 ホラー

 ピエロと踊る殺戮、完結編。

 

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【あらすじ】

 恐怖の殺人一家、再び。前作で悪逆非道の殺人を繰り広げた一家が、ついに警察の一斉捜索を受ける。各々逃げ出すが、行く先々でも殺人を繰り広げる。そんな一家を、執念で追い詰める保安官。包囲網はどんどん狭められる。一家は無事、逃げ切れるのか。

 

【感想】

 前作『マーダー・ライド・ショー』で「えええ」と思わせ、続編の匂いをぷんぷんさせていたところの今作品です。内容は相変わらずぐっちょんぐっちょんでアレなのですが、やっぱりかなり面白いです。今作のテーマは「逃亡中の出来事」と「家族の絆」、そして「殺戮一家の道中ヒャッハー」です。そこは外せません。

 

 今作のヒャッハーは前作よりも理不尽度が跳ね上がっていて、前作だと「そんなクソどうでもいいオカルトで肝試しなんてバカなことを考えたからそうなったんだ」ということがあるのですが、今作は完全に理不尽が向こうからやってきています。しかも逃げられません。この辺は『ファニー・ゲーム』的だなぁと思いました。手錠で拘束するようなこともなく、ただ凶器をちらつかせることで恐怖で縛るという手腕。まるで台風。「犬にでも噛まれたと思って諦めてくれ」という言葉がお似合いです。

 

 そして後半、復讐に燃える保安官が『悪魔のいけにえ2』のデニス・ホッパー並に頭のねじが外れたおかしな行動をとり始めます。要は何とか逃亡中の一家を捕まえて、惨めったらしくオマエラがしてきたことと同じようなことで死ねというわけです。散々悪の所業をしてきた殺人一家ですが、椅子に縛り付けられてくぎ打ち機で釘を打たれているところは「散々なことをしてきた罰だ!」という気持ちがある反面、なんとなく「頑張れ、逃げろ」って応援してしまいたくなるのです。前作はただただモンスターのように表現されてきた一家ですが、たった1時間程度彼らに肩入れした映像を見ただけでなんか応援したくなるのです。「シマウマが主役のドキュメントではライオンに捕まるとかわいそうって思うけど、ライオンが主役のドキュメントではエサが捕まってよかったねになる現象」が起こっているのです。

 

 そしてこの作品はラストに尽きます。何とか保安官から逃げ切った一家がたどり着いたのは、前方に立ちふさがる警官隊の群れ。満身創痍の上、どうあがいてももう逃げきれない。そんな彼らは最後の力を振り絞って、警官隊に車ごと突入していく。

 

 ここまでくると「果たして悪とは何だったのか」「死と言うものは平等に訪れる」とかそんないろんな思いがぐるぐるするんですよ。確かに彼らは悪逆非道の残酷なことを散々やってきた。しかし、それは彼らが残酷に殺されていいこととイコールなのか? 保安官に拷問されているときに身内でかばい合う彼らは果たして本当に「人間」ではないのか? 何だかそんなことが内包されていました。

 

 そんな感傷的なラストですが、道中は前作に輪をかけてひどいことになっています。各所に出てくるロブ・ゾンビの「こういう映画を作りたい!」という情熱が前作以上に感じられました。これはそういう愛にあふれた映画です。ただ一般人お断りなのは間違いないのでオススメはしません。