傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ハロウィンⅡ(リメイク版)」

 これは無印が傑作すぎた例。

 

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【あらすじ】

 悪夢のハロウィンのその後の話。死んだはずのマイケルが蘇り、再びローリーを襲い始める。ローリーは自らの出生の秘密を知り、自暴自棄になる。

 

 【感想】

 とりあえず、嫌いじゃないです。でも、前作が完璧すぎてどうしてもⅡが蛇足に見えてしまうんですよ。それだけ前作のリメイクが半端なく良かったんです。全体的にマイケル君が何を考えているかさっぱりわからない不気味なキラーマシーンというより「意志をもって」殺人を行っていることを描こうとしているのかなと思いました。

 

 今作の特徴は、マイケル君の見ている光景がオカルトチックに描かれていることです。死んだはずの母ちゃんや子供の頃の自分がいて、それでローリーをどんどん追い求める。最終的にローリーもマイケルの幻視に巻き込まれて精神を病んでしまう。そしてルーミスが金の亡者と化して、なんとかマイケルを押さえようとする。

 

 レンタルでオリジナルの2が置いてなかったのでローリーがマイケルと兄弟だったと知るシーンがどう描かれていたのか比べられないのですが、今作での表現は相当引っ張ってかなり残酷な描写だったと思います。ローリーのショックもひどいのですが、それ以上にローリーの顔を全面に出して見世物にしたルーミスの下種さが強調されていました。全体的にマイケル君の殺戮パートが単調だった分、こっちの人間ドラマのエグさはかなりキていました。

 

 そう、不満はマイケル君の作業的殺戮です。なんか、もうちょっとなかったかなぁというところがあるんです。途中にいる人をとりあえずばしゃばしゃとなぎ倒していくだけで、全体的に特に物語もドラマもはらんでいないのですよ。まるで自然現象のようなマイケル君は、既に人間辞めましたっていうことなのだろうか。

 

 最後の展開も燃えないわけではなかったけれど、ローリーの精神状態の振れ幅が大きすぎてついていけなかった。最終的にマイケル君ではなく、ローリーの物語になってしまった。前作の子供マイケル君みたいに、もっとマイケル君にスポットを当ててほしかったなぁというのが我儘な感想。いや、全体的にクオリティ高いんですよ。ただ前作が完璧すぎて求めすぎてしまうってだけで。ロブ・ゾンビの映画は好きですよ。