感想「インブレッド」
おらたちの戦い(殺戮)はまだまだ続くべ!!!
【あらすじ】
保護観察中の少年少女三人と監察官二人が社会奉仕体験と言ってよくわからない田舎町へやってくる。不気味な雰囲気の村人にひるむ五人。そして期待を裏切らない村人たちからの手厚い「もてなし」を受ける。
【感想】
最高。
観終わった瞬間の清々しさは相当なものでした。ここまでやりたい放題詰め込んだもので最後に「村の日常に戻る男たち」のカットはあまりにも美しく、DVDで見ていたのに拍手してしまったほどです。なんだこの「正義の味方が悪をやっつけておしまい」みたいな清々しさを感じるラストは!? もうこの疑問符だらけのラストシーンだけでお腹いっぱい! 最高!
もちろん正義の味方も悪の手先も何も出てきません。ただひたすらに狂った空間で狂った暴力が行われるだけの作品です。内容はとことんありません。
冒頭で少年たちはこの映画を彷彿させる変な映画を見て「最高だぜ」とか言うのですが、それで頭がおかしいと思ってはダメなのです。基本的に男性の登場人物はほとんど頭がおかしいのです。多分イチバンマトモなのは保護官のおばちゃんで、次点で女の子。それから男の子たち三人で、もう一人の保護官のおっちゃんはかなり頭がイッている。村人たちはその比ではないのですが。
そもそも廃屋同然の家を無理矢理掃除して泊まろうという発想が間違っています。道を間違えたならば引き返すべきだし、パブに行った時点でもっと警戒するべきだったのです。保護官のおっちゃんも基本的に正義感の強い人だったんでしょうが、人間としてはなかなか空気の読めないダメな人物でした。だから最初に退場する羽目になったんでしょうけど。
そして突っ込み始めたらキリのない物騒な村の連中! 見た目がいかにもで明らかにイっている系の方々が農耕具片手に殺戮するわけですね。野菜とか馬とか肥え撒き機とか。なんでしょう、もう最後は完全にギャグです。馬に踏まれて死亡とか、ウンコで弾けて死亡とか、明らかにふざけています。特に「危ないからメガネをかけて」のシーンでスチャっとメガネをかけた村人は明らかにメタな楽しみ方をしている観客の笑いを誘っています。
最後の「生存フラグか!?」という期待を予想通り裏切ってからの駆けシーンもゲスな感じしかしなくて最高でした。無理矢理テーマを読み取るなら、「都会からやってきた者は皆殺しという田舎があってもおかしくないよね!!」というくらいでしょうか。宣伝文句通りとにかくインモラルで「ちょ、これヤバくね?(政治的に)」という表現がたくさんで面白かったです。ただ面白がるにはこういう映画の文法を知っておくことが必須ですので先に『変態村』でも見ておいてください。終わり。