傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「リング」

 くーるーきっとくるー。

 

リング [DVD]

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【あらすじ】

 TV局に勤める浅川玲子は、姪の死が都市伝説として語られている「呪いのビデオ」に関係していると気付く。伊豆のペンションで見たと言う情報を頼りにビデオにたどり着くが、そのビデオは本物であり、玲子も「7日後に死ぬ」という呪いにかかってしまう。元夫の高山竜司に掛け合い、呪いを解く方法を探しているうちに、玲子の息子まで呪いのビデオを見てしまう……。

 

【感想】

 いわゆる「Jホラー」の金字塔なのですが、今見てもやっぱり面白い。「お化けがわかっているけれど画面に出てこない」というのは当時のホラーでいうと斬新で、最後になんかよくわかんないのがにゅるにゅると出てくるのはかなり思い切った演出だと思うのです。2010年代も半分を過ぎた今でも「貞子」の怪物が一人歩きしている状態なのですが、それも納得のインパクトでした。

 

 これを2010年代に見ると物語の内容はそうでもないのですが、「ビデオテープ」というギミックがとにかく過去の遺物に見えてしまって仕方ないのが少し怖いところでした。ビデオデッキなんて今はなくてもDVDのディスクとポータブル再生機かノートPC、または動画データとタブレットでどこでも確認できます。この話のポイントは「ビデオ」という限定された空間で発生するから怖いのであって、これ現代だと『らせん』に続くようにパニック映画になっちゃうんだよなぁと思う。

 

 で、内容なのですが「タイムリミット」と「もしかしたら呪いは解けるのでは?」というぎりぎりの加減が最高にいい味出してました。「貞子が怖い」という他にミステリーとしても非常に面白い。多少オカルトめいた謎解きではあるけれど、呪いのビデオの正体が少しずつ明らかになっていく過程はハラハラする。そして肝心な時に台風が来ると言うドキドキも物語として面白い。

 

 どうしても貞子のインパクトありきで評価されてしまうこの映画ですが、ミステリーとしても優秀だし、貞子の怨念の下敷きも丁寧に書かれていて良いと思います。ラストの不気味な広がりを予感させつつきれいに締めるのも、カッコイイ。この後『らせん』に続くのですが、この『リング』だけでかなり楽しめると思いました。