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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「劇場霊」

邦画 ホラー

 ちょおだい。

 

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中田秀夫監督最新作『劇場霊』予告編 - YouTube

 

【あらすじ】

 死体役ばかりの売れない女優、水樹沙羅は舞台『鮮血の呼び声』のオーディションに出る。エリザベート・バートリーの物語をなぞった脚本で、舞台には彼女の内面を映した人形が置かれていた。先輩女優やプロデューサーとの確執もありつつ、舞台の稽古は進み、そして小道具スタッフの女性が変死体で発見されたところから「人形」の正体が明らかになっていく。

 

【わりとネタバレ感想】

 伝説の『女優霊』から、ということで見に行ったのですが……『女優霊』を期待して見に行かれる方は気を付けてください。

 

 『女優霊』要素がほとんどありません……

 

 なんか業界関連の話だよなぁとか、川辺で撮影しているよなぁとか、そういうのはなんとなくわかったのですが、『女優霊』を期待していくとやられます。あの「何だかよくわからないことが起こっているあのぞわぞわして最後まで結局よくわかんない系のアレ」は皆無です。怪奇現象の正体は冒頭からいきなりわかっちゃいます。

 

 そもそも『霊』要素がほとんどありません……

 

 怪奇現象の原因は「人形」で、人形が襲い掛かってくるというのがこの映画の中心で、幽霊がぞわわぁというところはありません。物理的に人形が襲い掛かってきます。全体的に全部物理的です。「エスパー属性のポケモンサイコキネシス使わないでひたすらのしかかりを使ってくる」みたいな違和感です。クライマックスでは少しサイコキネシスっぽいシーンがあるのですが、「ドアが開かない!」という程度です。

 

 これは『ホラー』なのか!?

 

 ホラーと言えばホラーだと思いますが、クライマックスはホラーというよりパニック映画だと思うのです。猟奇的なシーンもなく、かといって幽霊が背筋ぞぞぞという場面もなく、ただ劇場内を大人たちが騒ぎまくると言う顛末。人形も物理移動なので、不意の怖さとか全くありません。

 

 これは『女優』のお話だ!

 

 人形が人間を襲うと言うお話は実は後半のパニック部分に持っていくための壮絶な小道具で、実は「女優が売れるためには」みたいなお話がメインだったりします。そんでAKBの島崎遥香を中心に「女優のスターダムを駆け上がるのは誰だ!?」みたいな感じになるのですがその辺のドロドロが強すぎてホラーに集中できないというか、そんな小娘たちにエリザベート・バートリーを演じさせようとかこのキャスティング正気かとか思い、ゲネプロを邪魔されて訴訟を起こすほどそんなに金をかけるのであれば、もっと実力のある落ち着いた女優を起用すればいいのにとか思いながら見ていました。そもそも20そこそこのキラキラした女の子が「老いが怖い」なんていうの、すげー説得力がない。そんなんだからキラーフレーズの「哀れな女の末路を笑うがいい」がすげぇスッカスカに聞こえる。というか、この稽古のシーンは基本的にアイドル演技だなぁと思いました。多分本気で狂った演技をしている方々を観慣れているので、バートリーをやった子がどうしても「女優と言うよりお芝居している女の子」にしか見えないなぁとしか思えないのです。だからこそ、劇作家先生の下心もスッカスカの最低に見えるわけで。

 

 でも人形は最高だ!

 

 と、何だかんだ言ってきましたが「人形」のビジュアルはかなり怖いです。序盤の倉庫のシーンとか鳥肌ですし、目が動くところはなかなかビビリます。後半のモンスターパニック状態の人形もなかなか怖いです。でも屋上から見つめていた人形はそんなに怖くないんだよなぁ……。とりあえず、冒頭の嵐のシーンと、序盤の人形倉庫のシーンは最高です。あと何回か人形視点の映像が出てくるのもよかった。

 

 とにかく人形は怖かったので、タイトルを「人形の霊」とかにしていれば、多分文句も少なかったと思うんだけどな……完全にタイトル詐欺だった……もっと人形メインでやってほしかったなぁ。おわり。