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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「タクシードライバー」

洋画 アメリカンニューシネマ ドラマ

 これ現代日本でリメイクしてほしい。

 

タクシードライバー [Blu-ray]
 

 

【あらすじ】

 不眠症で元海兵隊員のトラビスは深夜のタクシー運転手の仕事を始める。トラビスは夜の街の治安の悪さを嫌っていた。ある日選挙事務の女性に恋をして彼女を口説くが、失敗する。その後売春婦と思われる少女を助けられなかったことなどからトラビスは一人で街を「浄化」しようと考える。

 

【感想】

 やっぱりアメリカン・ニューシネマの代表作。人を選ぶシナリオで、共感するとハマるけどアンテナが合わないと「えぇえ?」ってなる作品。とりあえず音楽と映像がカッコイイのは間違いないです。

 

  これは「何者かになろうとして結果的に英雄になった者」の物語だと思うのです。トラビスは一介のタクシードライバーで納まることを望まず、「何か特別なこと」をやりたかったのではないか。実際に街にいるろくでなしを掃討したいと思ったのも純粋な正義からというより、「正義を執行するオレカッコイイ」がやりたかっただけなんだと思う。それがあの鏡のシーンの全てでいいと思ってる。

 

 序盤の恋愛パートはハラハラしかありませんでした。どう見てもポルノ映画に連れ込んだり、警察を呼ぶぞと言われるまで付きまとったり、更にタクシードライバーの仲間ともうまく交流が出来ていない感じが本当に「自意識過剰」なんです。「俺はこんなところで終わるわけがない、俺はもっと俺ではない何かになってやる」という思いだけでトラビスは行動を開始します。仕込銃を作ったり、トレーニングをきちんとしたり、そういうマメなところが徐々に私生活にも影響を与えてきます。

 

 更に通りかかった売春婦を助けるために彼は行動を具体的に行ってしまいます。この辺で大事なのは「本気で彼女を心配していた」からではなく、「彼女を助ける俺カッコイイ」が真剣にやりたかっただけなのでしょう。それで生死の境をさまよい、新聞で「この人カッコイイ」がバンと報道されたことで「俺カッコイイ」をする必要がなくなった彼は、半ば付きまとっていた女性に興味を失います。序盤の恋愛パートも真剣に彼女が好きだったからではなく、「俺カッコイイ」のための演出だったのでしょう。

 

 何かを成し遂げて最終的にトラビスはせいせいするのですが、トラビスのような思いを抱いている人は世界中にたくさんいます。その全員がトラビスと同じ方法で自己実現を果たすこともできないので、何か別の結末が与えられるといいのかなぁと思いました。非常に落ち着いていて面白い映画でした、おわり。