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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ブギーマン」

 アメリカ版呪怨

 

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【あらすじ】

 ティムが幼い時に「ブギーマンが来るよ」と脅した父親は、正体不明の者にクローゼットの向こうにさらわれてしまった。それから時を経て、母親の葬儀に合わせて荒れ果てた家に戻ったティムは「クローゼットに潜む何か」の恐怖に再び立ち向かうことになる。

 

【感想】

 サム・ライミ制作ということで期待して見ました。「クローゼットの向こう側」っていうのは向こうの子供時代の恐怖の象徴みたいですね。『モンスターズインク』でもモンスターが出てくるのはクローゼットだし、日本でも「押し入れや物置に閉じ込める」というモチーフがある。

 

 冒頭の「子供時代の怖いモノ」というシーンはなかなか雰囲気があってかっこいい。「あれが動いたらどうしよう」とか「これが襲ってきたらどうしよう」とか、そういう不安になって寝つけない様子がよく描かれていて面白いと思った。だけどそれから急転直下のパパ失踪は恐怖と言うより「ホラーギャグ」だなぁと思いました。

 

 この「恐怖が伝播する」みたいな話はまんま「呪怨」だなぁと思いながら見ていました。中心にあるのはティムの暗闇を恐れる心で、モンスターの「ブギーマン」はそれに付け入って次々と恐怖を感染させて身近な人を暗闇に引きずり込む。媒介者のティムは生かしておいて、父親や婚約者、叔父などをどんどんさらうブギーマンが釣り人みたいだ。

 

 ただ、このティムが媒介者だから仕方ないんだけど、かなり情けない。婚約者の家で挙動不審だったり謎めいた少女にいきなり「ボクを助けてくれ」とかすがってみたり。割とリアルな「見える狂人」の描写がところどころ薄ら寒くて、単純なお化けがガオーのホラーじゃない。お化けも出てくるんだけど、人間が怖い系の話も少し入っている。

 

 だけど、モーテルに瞬間移動したり恋人が消えていたりとなかなかトリッキーな展開で時間移動やあとでネタばらし的な手法は少しクドく感じてしまった。ストレートに「クローゼットの闇」をやるんじゃなくて、物語の展開をいじってしまったから何をしようとしているのか少しわかりにくくなっていると思う。謎解きがメインなのか、モンスターがメインなのか。両立できるのもあるんだけどその塩梅が難しい。

 

 そんでラストは直接的に襲い掛かるモンスターを描写してしまったので、「恐怖が媒介」とかそういうモチーフを一気にぶち壊した感じもする。「恐怖に打ち勝つ」のシーンもなんかご都合主義なところもあるし、何より「行方不明の父親婚約者叔父はどうなった!?」というのがあるので単純にハッピーエンドで終われない。じんわりとイヤな後味がある。そんな映画でした。

 

 一番怖かったのは、ティムの夢枕に母親が立つところだったのが「ブギーマン」の「恐怖の具現化」の難しいところだったのかもしれない。