傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「アンストッパブル」

 生きて帰れたら、言いたいことがあるんだ。(公開時キャッチコピー)

 

 

【あらすじ】

 ペンシルベニア州の操車場から機関士のミスで大型のディーゼル機関車が無人のまま走り出してしまった。列車は速度を上げ、容易には止められない暴走列車となってしまった。このままでは市街地に入って大きなカーブを曲がれず、大惨事は免れない。たまたま出会ったばかりで、それぞれ人生に訳ありの二人組が命がけで列車を止めに向かう。実際にあった事件を元にして作られている。

 

【感想】

 お正月からセガール劇場一色だったので、久しぶりに映画感想を書こうとしたらまた吹き替えが大塚明夫!! いや、大好きだからいいんだけどさ。

 

 これは公開当時劇場で見たのを覚えています。冒頭の「どうみても死亡フラグ」のキャッチコピーに釣られて見に行ったのですが、そんなおちゃらけた態度をはるかに裏切る作品でした。正直こんなに面白いとは思わなかったのです。

 

 そんで今回地上波で放映されたのを見て、「何が面白かったんだろう」と考えた結果、役者の演技とかカットの見せ方とかそういうのもあると思うんだけど、一番は「映画中盤からほぼTV中継の体裁をとっている」というところにあると思ったのです。 

 

 主人公コンビの人生うまくいってない感じとか部長のクソ具合とか、そういうベタベタした物語もなかなかわかりやすくていいんだけど、二人が暴走列車に向かうシーンから画面がTV中継をそのまま映すようになってくる。気が付けば観客も映画の中で二人を見守る住人と同じ視点で事態の進行を見守っている。もちろん要所要所はきちんと二人を映しているんだけど、中継ヘリから見えるか見えないかという距離で奮闘する彼らを見るのが本当に手に汗を握る仕組みになっている。正直言って面白い。

 

 そういえば部長が「どうしてTVのほうが情報がはやいんだ!?」って怒るシーンがあるんだけど、その辺もこの映画の特色なのかもしれない。暴走列車事件のことを描きつつ、「リアルタイムで起こる事件の中継」がどのように見えているかということも映画の内容のひとつのような気がする。たった数時間の出来事なのにワイドショーの反応がやたらとはやいとか、そういうツッコミはとりあえずナシの方向で。ネットがTV中継の代わりになっているのは言うまでもない。

 

 最後に、エンドロールの前にそれぞれの人生のその後が書かれていて、なかなかパンチが効いたものとなっている。このオチを見るだけでもこの映画を観る価値はあるかもしれない。

 

【余談】

 暴走特急と言えばこの人なんですが。

 

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 何しろ見たのが随分と昔なので、『暴走特急』と『沈黙の艦隊』がごっちゃになっていることに最近気が付きました。近いうちに見ないとなー。