傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ストリートファイター」

 サマーソルトキックが一回転して面白いと思えたら勝ち組だ。

 

 

【あらすじ】

 東南アジアシャドルーで、独裁者バイソン将軍がボランティアと護衛の兵士を人質に身代金を要求してきた。ガイル大佐は彼らの奪還とバイソン将軍を倒すことを誓う。一方、詐欺師のリュウとケンはシャドルーを仕切るマフィアのサガットに会い、地下試合に出る羽目になる。

 

【感想】

 率直な感想です。

 

 ストリートファイトがない!!

 

 もうあらすじがどうのこうの以前の問題なので各キャラごとに見ていきましょう。

 

《ガイル》

 アメリカで映画化ということで彼が主役です。ジャン=クロード・ヴァン・ダムが頑張ってガイルをやっていますが、ストⅡのコスプレ大会に紛れ込んだジャン=クロード・ヴァン・ダムにしか見えません。ヴァンヴァヴァンダミングアクションはしっかりやっていたけど、ソニックブームはさすがに使ってくれなかった。

 

リュウとケン》
 おかしいなぁ、もともとの主役のはずなのにこのチンピラ扱い。しかも赤と白の胴着は最終盤にならないと出てこないから「なんとなく調子こいた二人組」にしか見えない。アッパーカットのような昇竜拳に掌底を叩き込むような波動拳は、まぁ実写だし仕方がない。 

 

《バイソン将軍》
 北米版ではオトナの都合で「ベガ→バイソン」「バイソン→バルログ」「バルログ→ベガ」って名前が変わっている。だからバイソン将軍は驚異のサイコクラッシャーを使うベガ様のことである。正直この人が頑張ってくれたおかげで「ストⅡ」らしさが残っていたと思う。そして抜群の「ベガ=バイソン」っぷりがたまらない。映画の中で出てくる「サイコクラッシャー」は最高でした。

 

春麗
 登場した時のあまりにも普通な外見に「これは春麗なんかじゃない!」と脳みそから否定して見てきたけど、後半でチャイナな格好になって「これは春麗なんだ……」って認めなくてはいけなくなってしまった。なんか全世界の格闘術を体得しているみたいです。戦うときの顔が怖いです。こんなの春麗じゃない!

 

《ホンダとバルログ
 エドモンド本田はハワイ出身のスモウレスラーに変更。この二人は原作と似ている。しかし本田の隈取がないのが残念。バルログ(バイソン)は激似。 

 

サガット
 何気に顔は激似なのにスーツ着ちゃってるせいで小物感が半端ない。後半少し戦ってくれるけれど、本当に申し訳程度。

 

《ベガ》
 我々にはバルログという名前が馴染みのあるキャラ。仮面の下はただのオッサン。残念。

 

ザンギエフ
 とっても似ている。素晴らしく似ている。ホンダとの組合は見事でした。

 

ブランカ
 悪のバイソン将軍によって生み出されたクリーチャーという設定。頑張ってブランカっぽくなってるけど、何かが決定的に違う。

 

ダルシム
 今作一番の問題児。登場時は何故かブランカを作り出したインド人の科学者と言う設定で、ヨガフレイムなんて使えなそうなただのおっさん。何より髪の毛もあるし。最後のシーンで申し訳程度に爆発で髪の毛を失う描写で「原作のダルシム感」が出ている。ヨガフレイムは? ねえヨガフレイムは?? 

 

 そんな感じで作品の感想はもう「楽しんだもの勝ち」というものしかないです。これはもはや二次創作レベルのキャラ崩壊を指さして笑う映画です。中盤の熱い展開とヴァンダミングアクションと激似のザンギエフダルシムのどうしちゃったの感が堪能できればそれだけでこの映画の価値はあります。リュウとケン? そんなのいたかなぁ。

 

 そして何よりも一番面白いところは、全くストリートファイトしてないってところです。

 

 そんな映画を愛する人にはオススメの一品です。