傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「サスペリア」

 いつかはあなたの住む町に来るかもしれません。

 

【あらすじ】

 アメリカからバレエ留学のためにやってきたスージー。到着した日に生徒が不審な死を遂げるなど、不穏な空気が立ち込める。レッスン初日に原因不明の体調不良で倒れたスージーに不審な介抱が行われ、そしてバレエスクールに不穏な空気が立ち込める。

 

【感想】

 夏は堂々とホラーの話ができるから嬉しい。そうでなくても年中しているけどね。この『サスペリア』は近くのツタヤになくていろんなところを探してやっと見つけたのです。『サスペリア』置いてないとは何事か!? ということなんだけどそうだったんだから仕方ない。やっと見つけて「わーい」ってDVDをプレーヤーにかけたんだけど、近くの公園で盆踊りが始まって祭囃子が聞こえる中見る羽目になりました。ただのピーヒャラだったらある程度我慢はできたのですが、何故か大音量で「Let it go」が流れましてね。夏のクソ暑い中「すこーしも寒くないわっ」って歌詞が非常に空しく聞こえてきて映画どころじゃなくなりました。そんな夏の思い出。

 サスペリアと言えば冒頭の雷と共に映る男の絶叫なんですが、本編よりあの顔のほうが人気なんじゃないかって思う。結構はっきり映っていて予備知識なく見たら鳥肌ものだと思う。だけど何回も見ているから「ここかー!!」という感動しかなかった。ホラーで感動してどうするんだ。

 そして有名な冒頭シーンなんだけど、やっぱり怖い。サイケデリックなセットに、何が何だかわからない展開。そして少女がぐさっぐさっぐえー! となる。血はバンバン流れるし、直接的な乱暴なのに見てしまう。そのくらい芸術的。さすが「この映画が一番怖い!」という感想が多いだけある。

 だけど、全体的に見て恐怖のレベルはそんなに上にはいかなかった。たぶんモチーフが「魔女もの」だからだと思う。海の向こうの人にはとっても怖い存在なのかもしれない。でも、個人的に「悪魔や魔女もの」ってピンと来ない。こればっかりは文化の違いだから仕方ないのかもしれない。「ローズマリーの赤ちゃん」は徐々に誰も信用できなくなっていく過程がすごく不気味で怖かったけど、これは最初から全員めっちゃアヤシイのでそんなに怖くなかった。「赤を飲ませなさい」のシーンでめちゃくちゃ怪しいもの。そういえば「ローズマリーの赤ちゃん」でも栄養ドリンク(?)を飲ませるシーンがあるけど、こういうものに怪しい飲み物は不可欠なのかな。

 そしてこれだけは言いたいのが、盲導犬が飼い主に襲い掛かるシーンはちょっとやり過ぎというか、映画観てあんまり胸糞悪くなることはないんだけど、これはダメだった。訓練を受けた犬があんなことをするなんて犬に対するイメージを下げるだけじゃないか! と食って掛かりたくなった。そういう気持ちを含めての映画づくりだろうから仕方ないけど、本当にやりきれない。あのシーンは個人的に受け付けない。

 ホラー映画だからバッドエンドも期待したけど、普通に脱出エンドだったので安心反面期待外れ半分で終わったのもイマイチ自分の中で消化しきれないものを感じました。単純にこの作品に対するハードルを自分の中で上げ過ぎていただけなのかもしれません。多分普通に見たらめっちゃ怖いはずです。夏はホラーで乗り切ろう。