傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「青鬼」

 逃げろ。
青鬼 スペシャル・エディション [DVD]

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【あらすじ】

 脱出ゲームを作っていたシュンは、いじめられている卓郎に廃屋に連れてこられる。そして拓郎の仲間の美香とタケシ、偶然居合わせたヒロシとシュンを追ってきた杏奈と共に廃屋に閉じ込められ、得体のしれない化け物に追い立てられる。
 

【感想】

 言わずと知れたフリーホラーゲームの映画化。「不安の種」須賀健太君が出てるから特に予定はなかったけど、急遽見に行ってしまった。そして日曜日の午前中にR-12の中学生ご用達映画を見ると言うミスを犯したために映画の内容以上にすげぇ世界を見てきてしまったのですが、それはまた別の話。
 
青鬼
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青鬼  復讐編
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 読んでないけど、一応書籍化もしてるんだよね。もちろんゲームと小説の物語はほとんど違います。この映画は小説版に沿っているみたいですね。以前プレイしたときは、ビックリ系が苦手なのと謎解きに集中できないことで途中でプレイを諦めています。たまにあるびっくりホラーは大好きだけど、常にビックリは辛い。そんな不快系脱出ゲームが「青鬼」です。楽しいっちゃ楽しいけどね。

 映画本編に戻ると、ホラー映画としてはハズレではないと思います。原作の「閉じ込められた屋敷で鬼ごっこ」というエッセンスをキレイに取り出して映像化したなぁという印象。逃げまくってブレブレのブレアウィッチみたいな画面で始まる。3D酔いはしないけど、下手すると冒頭のブレブレで酔うくらいブレブレ。こういう「気持ち悪っ」という掴みはOK。

 そしてゲームでは「肝試し」ということで屋敷に行くんだけど、ここで屋敷に行く理由がゲームと違う。全体的なネタバレになるから詳細は書かないけど仕掛けとしてはただの脱出ゲームではなくホラーとして成立させるのにちょうどいい味付けだと思った。それにしても卓郎がクズすぎる。わかりやすいクズ設定。そしてクズ卓郎に従う美香とタケシの死亡フラグ臭が半端ない。ホラーの定型をわかりやすく押さえているのも好印象。グロシーンはちょっと長め。ただ直接描写はないのでお子様でも安心してみていられる設計。

 気になったのが、おそらく脚本だと思うんだけど文語が口語になじんでいない部分がところどころあった。ヒロシはそういうキャラだからいいとして、卓郎も「重々わかっている」がうまく言えていなかった。どうしてもこういう台詞は「よくわかってる」みたいに最適な口語に直したくなる。最近の民放ドラマは役者が下手と言うより、脚本がこんな感じだからフラストレーションたまってよくない。

 総合的に単品の映画としては悪くないと思います。演出もきちんと考えられている感じがしたし、須賀君の新たな局面も見られたし、きちんと怖がらせようとしている心意気みたいなのは感じ取ってきました。恐怖の対象の原因を深く掘り下げないで終わったのも素敵。でもガチホラーではないので、その辺は線引きして見に行きましょう。