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傍線部Aより愛を込めて ~映画の傍線部解釈~

主にひとり映画反省会。人の嫌いなものが好きらしい。

感想「ドラえもん 新・のび太の大魔境 ~ペコと5人の探検隊~」

 きっとみんなの心を合わせたら きっと僕は弱虫じゃないよ
 (ドラえもんフリークの旧映画ファンの正直な感想です)

 

 

【あらすじ】

 ジャングルや高峰、深海底など人類未到達の地はなくなってしまったと言うが、それでも秘境や魔境を探検したいというジャイアンスネ夫のび太ドラえもんに頼んで人工衛星で魔境を探すことにする。ところが探査中にのび太はお使いに行くことになり、帰り道で一匹の汚い犬にソーセージを恵む。ついてきた犬はとても利口で家で飼うことになり、腹ぺこだったから「ペコ」と名前を付けられる。そのうちペコがアフリカの奥地に謎の巨神像を見つけ、いつもの5人は探検隊としてアフリカに向かう。


【感想】

 ドラえもんフリークとしては初日に見ていきたかったのですが、なんと余裕こいて映画館に行ったら満席で、リベンジの機会を狙っていたらこんな遅くになってしまいました。正直旧映画の大魔境がドラえもん大長編で心のベスト3に入る名作なので今回のリメイクに心配がありまくりでした。でも、まず言えるのが「このリメイクは安心して見れます」というところです。


 よかったリメイクポイント1:原作に忠実
 とにかく一番良かったところは、「余計な追加キャラが話を損ねていなかった」というところです。とにかくほぼ原作通りということで安心して見れます。「ヘビースモーカーズフォレスト」とか「アフリカランド」とかそのまま出してくれてよかったです。後半の王国クーデターの部分もほぼ原作通りです。もう原作通りと言うだけで満足です。あと旧映画でカットされていたスネ夫がどこでもドアを使うシーンとしずかちゃんのお風呂シーンが映像化されていたのもよかったですね。


 よかったリメイクポイント2:グラフィックの良さが生きていた
 大魔境の魅力と言えば前半の動物ランドのコーナー。旧映画では動物のカットが続くだけだったけど、今回は動物とのふれあいが追加されていて「これぞリメイク」という感じでした。オカピがきちんといたのも高評価ですが、しずかちゃんに対してちょいと「何やってんのよ」というところがありました。あと巨神像の動きがダイナミックになっていました。なんで石像があんなに滑らかに動くんだとかそういうツッコミはなしの方向で。


 よかったリメイクポイント3:サベール隊長
 開拓使ギラーミン、宇宙小戦争のドラコルル長官に続いてかっこいい悪役に入りそうなサベール隊長。旧映画だとその良さがイマイチ出てこなかったのがリメイクでバリバリかっこいいキャラに昇進しました。特に追加エピソードの荷台を調べるシーンでは有能っぷりをアピールしてました。(ところでずっとサーベル隊長だと思っていたのですが、違ったっけ?)

 

 総評として、とにかく「原作通りにしたのが最大の評価」です。まるで忠実で物足りないかと言えばそこそこの追加要素もあり、旧映画や原作との違いを楽しめるくらいの程よいリメイクでした。そもそもファン人気の根強いこの作品に追加キャラなど出して雰囲気をぶっ壊したら暴動が起きてもおかしくありません。


 この映画の主役は実はジャイアンです。わけもわからず猛獣に襲われ、家に帰れなくなり、全ては自分が言いだしたからだということでずっと責任を感じていました。旧映画よりこの落ち込み方はわかりやすく、子供が見てもジャイアンの心理がうまく出せていると思いました。特に大長編の中でも屈指の名場面「死ににいくようなものだぞ」はリメイクでもきれいにまとまっていました。相変わらずのサイレント演出で、徐々に仲間が集まってくるところで挿入歌が流れるのも一緒です。でも、旧映画であそこで流れる「ジャイアンのテーマ」にかなうものはないです。リメイクでは音なしでジャイアンが出ていくのですが、やっぱり物足りないです。あと、「10人の外国人」の後5人が駆けつけるシーンでかかっていた主題歌も、使いたい気持ちはわかりますがイマイチ盛り上がりにかけます。旧映画みたいにアレンジしてあればよかったのに、と思いました。つまり菊池俊輔さまさまです。


 基本的に丁寧にリメイクしていたのでちょっとした追加要素等は気になりませんが、お笑い芸人の話題作りのキャラは気になる人は気になるかもしれません。こういった傾向は南海大冒険からある気がするのですが、一体誰得なんでしょう。別におかしくはないのですが、明らかに挿入された感じがして気になりました。別にいてもいいんですけどね、やっぱり気になりますね。


 あとペコ周りの追加要素も丁寧に作っている感じがしました。クーデターの部分を丁寧に書いて、無理矢理スピアナ姫やダブランダーの出番を増やしている感じがしないでもありませんでしたが、まあいいかなと。あとソーセージをキーアイテムにしたのはわかりやすくていいですね。このくらいの改変なら大歓迎です。でも、できれば初めて喋るシーンでは足を組んでいてもらいたかったなぁ。


 ひとつ展開で面白くなかったのが、巨神像の中の大立ち回りです。原作に忠実にしたので旧映画の面白い部分だった歯車の中の追いかけっこがなくなってしまいました。たぶんカリオストロのオマージュだったあのシーン、のび太が電光丸で戦うシーンも含めて結構好きだったのですが初っ端からサベール隊長との一騎打ちになってしまって、話としては盛り上がりましたが旧映画ファンとしては物足りないところでした。カリオストロ侯爵ちっくなサベール隊長の最後とか、今見るとちょっと辛いですからね。


 あと、現代風と言うことでキャラクターデザインが大幅に変わっていたのが残念と言えば残念かもしれません。兵隊のフォルムが丸くてが全然怖くないのです。あと目が出ているので愛嬌が出てしまって、「謎の老人」チックだったコス博士からあふれる小物感がどうしようもありませんでした。火を吐く車に至ってはお子様にも優しい設計になっていて、あのちょっと不気味なデザインも今では無理なのかなぁ。イマイチ迫力に欠けるところはありました。


 全体的に旧映画ファンなんてケチをつければケチをつけるところだらけですが、今までのリメイクで一番成功していると思います。リメイク版はこの調子でやってもらいたいものです。


 さてさて、来年のオリジナル予告では「流れ星のようなもの」「スーパーマンの恰好をしたドラえもん」ということで個人的予想をすると「Go!GO!ノビタマン」を原作にしたオリジナルではないかと思うのです。宇宙とスーパーマンが出てきて、しかも映画になりそうなストーリーということで大本命です。「ウラドラマン」説もあるみたいですが、お話自体が映画撮影の話だから100分の映画にしてみてもちょっと辛いのではないかという予想です。しかも新聞記者の娘がジンジャーみたいなキャラになって人気が出るところまで予想済みです。


 まだ劇場でやっているので、「でもリメイクはなぁ」と思ってる大人も安心して見に行きましょう。